あ、聞こえてます？　ええ、こっちは大丈夫です。

　ええ、このままでお願いします。顔出しはしたくないので。いや、あなたのことは信頼してますけど、DMでお願いしたように、音声のみの取材でお願いします。

　えーっと、青葉奇作の件に関して、ですよね。

　印象ですか？　うーん、最初に認識したのは、カキヨミの自主企画ですかね。

　いや、最初は別に、普通でしたよ。寧ろ、好印象なくらいでした。

　確か、鬼島さんの自主企画だったかな。〝プロを真剣に目指しているホラー作家の恐怖よ、集え〟っていうやつで、接待じみた読み合いもレビューの星の入れ合いも無用っていう、結構意識の高い企画だったんですけど、そこに参加してたんですよ。

　こう言っちゃなんですけど、他の作家と比べたら割合にガチめなホラーを書いてるなって、目に留まったんですよね。タイトルがすっきりしてて、キャッチコピーもシンプルで。

　それで、作品を読んだら面白かったんです。導入から引き込まれて、途中からは応援のハートを入れるのも忘れて夢中で読みました。最後まで読み切って、ああ、凄いものを書く人がいるんだなあと感心してレビューを書こうとしたら、ユーザーページにTwitter……今はXでしたか。のアカウントリンクがあったから、ふと気になって見に行ったんです。

　そしたら、最新のポストで〝また一話か二話だけ応援の星を入れてった奴がいるわ。読んでやったから自分の作品読みに来いってか。クソが〟って呟いてたんです。

　他にも、〝最近のホラーはモキュメンタリーばっかでつまらない〟とか、〝こんな生温いホラー演出をした映画監督はくたばれ〟とか、過激なことばっかり呟いてたんですよ。それも、四六時中ブツブツと。

　それで、なんか嫌になって、星は入れませんでした。それを向こうは不服に思ったみたいで、後にネチネチ粘着されるようになったんですけど。

　いや、作品と作者の人格を分けて楽しまなきゃって意見も分かるんですけどね。僕の作品だって、主人公の思想＝自分の思想っていう風に書いてるわけじゃないんだし。まあ、勘違いされても仕方がないと思いますけどね。

　誹謗中傷？　そんなこと、するわけないじゃないですか。

　そりゃ、Twitterで苦言は呈しましたけど、きちんと正しい意見を言ったんだし、死ねとかくたばれとか過激なことは言いませんでしたよ。インターネット上で活動するに当たっての、最低限のネットリテラシーは身に付けているつもりです。

　……自分と似たような意見を言っていた人のポストを延々とリポストしてた？

　それが何だっていうんですか。たかがリポストじゃないですか。その中に過激な発言をした者がいようがいまいが、僕には関係の無いことですよ。

　もういいですか？　公募の作品を書くのに忙しいんで。

　は？　メアリスさん？

　知りませんよ、そんな人。それじゃ。

【2025年４月10日にWeb小説作家、藍沢幽彦に行ったリモート取材の音声記録の書き起こし全文】