第7話

「ふぅ、何とかなったな。」


モンスターハウスを乗り切った俺たちは1度部屋の真ん中に集まり休憩をとる事にした。


通常、封印の牢獄にはそれぞれの部屋に2体程しか居らず、ここまで苦戦することは無いはずなのだが…


「運が悪かったな…助かったぞ皆。」


「キヒッ!」


「グァァ!」


「ウォフ!」


3匹が返事をしながらドロップアイテムを集め、こちらに渡してくる。


「ありがとう、早速見るか!」


(こんだけ倒せばそりゃあ出るか…

とはいっても確率よりは遥かに良いけど。)


お目当てのモンスターカードが出た。

もちろんそれ以外にも魔石やポーションなんかも落ちたが今の俺は新しく手に入れたモンスターカードにしか目が向かなかった。


「これは、Fランクか、かなり運がいいな…」


俺たちが手に入れたのはFランクのゴブリンアサシンだ。


(こいつは…ラルフをすり抜けて俺に襲いかかってきたやつか。)


手に入れたのは俺に攻撃を仕掛けてきたゴブリンアサシンのものだった。


「にしても統一性のないモンスター達だったな…」


そう、でてきたのはゴブリンやウルフ等統一性がないモンスター達だったのだ。


「ダンジョンによって出るモンスターは決まってるからこんなにバラバラなのは初めて見たんだが…」


俺はここに来る前にしっかり調べてきていた、ダンジョンのこと、出現モンスターの事を。


(やっぱりおかしい、ここには鬼系モンスターしか出てこないはずだった。)


そう、そうなのだ。

封印の牢獄とはその名の通りあるものが封印されているから封印の牢獄という名前になっている。


そしてここ、伊井塚の封印の牢獄は鬼を封印しているはず、そのため現れるのは鬼系モンスターだけなのだが…


(なにか異変が起こっている…?)


封印の牢獄は各地にある。

ここ福丘にある封印の牢獄は3つ、全て同じものを封印しているが真に封印されしものの場所に行くには全ての牢獄を攻略しなければならない。


そして俺がいるのはFランクの牢獄、多少の異常が起こってもその危険度はワンランク上がる程度のためこのまま進んでもそこまで危険はない…はず。


「グァァ?」


ベドラが首を傾げながら俺を見つめてくる。


「はぁ、いや、そうだな。

危険を犯す必要はない、1回戻ろう。」


俺たちはソロでFランクを攻略するのに十分な戦力とは言えない、それにモンスターハウスでの消耗を考えると引き返す一択…か。


「良し、みんな引き返すぞ…?」


俺が入ってきた扉を見るとそこには壁しか無かった。


「え、いや、待て待て、そんな訳…

だって、封印の牢獄はいつでも出れるようになってる…はず、だよな?」


大前提、封印の牢獄はモンスターさえ倒せばいつだって戻れるはずなのだ。

でなければ、入った時点で攻略しなければ出られない凶悪ダンジョンとして最低ランクDは無ければならない。


もちろん、現れるモンスターの強さもあるため一概には言えないが…


(まずい、これは…どうすればいいんだ…?

通常状態の封印の牢獄ならまだしも今の異常が起こっている牢獄ではいくら何でも…)


「キヒッ!」


その時、アンプが俺の持つカードを指さして何かを伝えようとしている。


「どうしたんだ?アンプ…ってそうか、ゴブリンアサシンのカードか…」


(そうだ、諦めるな俺。

新しい戦力もある、今からこのダンジョンを攻略できるレベルまで成長したらいいんだ…!)


相当に賭け、だがやるしかない。


「まずは、ステータスを見るか、皆の能力も見直して作戦を考えよう。」



名前 アンプ 種族 インプ ランクF Lv.10《進化可能》


HP 140/200 MP 170/400


物攻 40

魔攻 65

物防 31

魔防 50

俊敏 52


スキル

・闇魔法Lv.4




名前 ベドラ 種族 ベビードラゴン ランクE Lv.8


HP 310/530 MP 370/500


物攻 84

魔攻 77

物防 85

魔防 70

俊敏 75


スキル

・竜魔法 Lv.5



名前 ラルフ 種族 グラスウルフ ランクF Lv.7


HP 220/370 MP 200/240


物攻 55

魔攻 32

物防 30

魔防 28

俊敏 60


スキル

・探知 Lv.3



名前 NONAME 種族 ゴブリンアサシン ランクF Lv.1


HP 180/180 MP 140/140


物攻 50(90)

魔攻 15

物防 12

魔防 18

俊敏 70


スキル

・暗殺術 Lv.1





「お!もう進化可能なのかアンプ!」


全員のカードを見ていくがアンプ以外も順調にステータスが伸びてきている。

ベドラなんてもう100に近いステータスがでてきている。


そしてなんと言ってもゴブリンアサシンだ。


「あまりにもピーキー過ぎるだろ…」


括弧内の数字は暗殺術を使い、相手に気づかれてない時の物攻のようだ。


この速さ、攻撃力、レベル1でこれはメインアタッカーとして十分に使えるだろう。


「とはいえ脆すぎるから使い方には相当苦戦しそうだが…なんとかなるか。」


そして俺がカードを見比べ、作戦を練っていると、アンプが体当たりをしてきた。


「うわっ…!な、何するんだよアンプ!」


「キヒッ!!!」


「へ?あ、あぁ、進化か。」


そうだ、アンプはもう進化できるのか…

どう進化するかによって立てられる作戦も変わる。

俺は作戦を練る前にアンプを進化させることにした。


「アンプ、これからも頑張ってくれよ!」


「キヒヒッ!」


アンプを虹色の光が包み込む。

光が消えると、そこには少し大きくなったアンプがいた。

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