第5話 換金と登校



ダンジョンを出ると外はもう夕方だった。

俺はサモナーズギルドに行き、魔石や毛皮などのドロップアイテムを換金する事にした。


ギルドに着き、換金を済ませると時刻は夜20時。

(そういや今日お昼食べ忘れてたな…)



今更になって空腹を思い出した俺は急ぎ足で家に帰り、夜ご飯を食べた。


ちなみに両親は仕事が忙しく、家にあまり帰らない人達なのでお弁当を買って帰った。


弁当を食べ、テレビを見ていると面白いニュースがあった。


「コスト制限ありのサモナー大会、か。」


ランク事にコスト制限があり、コストの中で3匹のモンスターを選び、闘技場で戦う。


今人気のスポーツのようなものだ。

(もちろんモンスターが死ぬこともある。)


「Gランクがコスト1、Fが2でEが4でDが6か。

総コストは8まで、なら主力のEやDランクは絶対1匹しか出てこないし、今の俺でも入賞くらいなら出来そうか…?」


といってもDランクを使うなら強制的に残り2体はGランクになるため俺的一番強い編成はE、F、Fである。


(まあそもそもDランクなんか持ってないしな。)


とは言っても1つのランク差で強さに大きな開きが出るのも事実。

大会に出るなら保険としてDランクを1枚、手に入れておきたいところだ。





次の日、学校があった俺は眠い目をこすりながら登校した。


しかし、いつもならめんどくさい学校も今日は違う。


友人たちにマウントをとれるということでルンルン気分である。(ゲス)



学校に着くと、いつも通り友人が近づいてきた。


「おい、蒐人!お前昨日なんで連絡返さなかったんだよ!」


「おはよう恭介、悪い忘れてた…

いや昨日はちょっと忙しくてな。」


「んだよ忙しいってー。

まさかっ…!お前、彼女なんてものが出来たのでは…!」


「んな訳あるか。

そんな簡単に出来るなら苦労しねえよ。」


「そりゃそうか、お前に出来るわけないよな。」


「ぶん殴るぞ。」


この失礼な男は赤木恭介、勉強がちょっとできる以外は俺とおんなじような男だ。


もちろん彼女もいない。


「そんなことばっかり話してるから彼女できないんだよお二人さん。」


「余計なお世話だよっ!」


「あれ?今日は早いな朱里。」


「まあね、恭介の言ってたように、蒐人から一日連絡返ってこないなんて何事だろうと思ってさ。」


この眠そうな目をしてる女は水田朱里、俺唯一の女友達だ。

俺は大体朱里と恭介と行動してるが朱里はいつも遅刻ギリギリで来るのでちょっと驚いたが、朱里も俺が連絡を返さなかったことを気にしてたみたいだ。


(ダンジョン関連で頭がいっぱいで忘れてた)


「あーすまん、色々あったんだ。」


「ん?色々?」


「あ、それ俺も気になってたぞ、何してたんだよ、一日中。」


「ふふふ、実はな、昨日冒険者になったんだよ!」


「おい、うそだろ?!なんで誘ってくんねえんだよ!」


「いや恭介はいつも金欠でしょ?

冒険者ってなるのにすごいお金かかるから無理でしょ。

でも、私は普段から貯金してるし、誘ってくれて良かったんじゃないの?」


「悪い悪い、ダンジョンって危ないし気軽に誘うのもな。」


「まあ、そうだけどね。」


「にしても、冒険者ってことはモンスターカード持ってんだろ?!何持ってんの?!」


「え?あー、俺の持ってるモンスターカードはFランクのフォレストウルフとインプ、Eランクのベビードラゴンだよ。」


「ええ?!Eランク?!」


「蒐人ってそんなにお金持ちだったっけ?」


「いや、モンスターガチャがあってな、どうしても引きたくなって…

あれは男なら抗えない。」


「それ10万もするうえにほぼGランクしかでないやつだよね?何してんの…」


「いや、気持ちは分かるぞ!」


「それでEランク当たってんだからいいじゃん!」


「こうやって人はギャンブルハマるのか…」


そうして、いつも通り話す感じで自慢を終えた俺は上機嫌でその後の授業を受けた。


ちなみに、どこの学校にもいると思うがこの学校にも超かわいい女の子、いわゆるマドンナ的存在がいる。

名前は羽場姫華、桃髪のかわいいタイプの女の子だ。


その子は冒険者をしており、それも俺が冒険者になった理由でもある。


(同じ冒険者なら関わることもあるかもだし…)


そういう下心もあった。

いや男なら仕方ないよね?!



とはいえあくまであわよくば程度だ。

相手はDランク冒険者、今の俺はFランクのペーペーだから関わりようがないんだけど。



そして昼休み


三人で教室でご飯を食べていると恭介が昨日のニュースの大会について聞いてきた。


「あ、そういや冒険者になったんならさ、今度の大会でるのか?」


「あー、昨日のニュースのやつか。

コスト制限のあるダンモン大会なら、俺でも勝てるかもだし…

でもギリギリまで考えるかな。」


ちなみにダンモン大会ってのはダンジョンのモンスターで戦うからダンモン、その大会って事だ。


「なら出る時は言ってよ?今度こそ。」


「しゃーなし応援に行ってやるか…」


「おう、もちろん。」


「…やっぱり私もなろうかな?冒険者。」


「え、ずるいぞ朱里!俺だってなりたいのにー!」


「普段散財してるのが悪いんでしょ。」


「そうだぞ、恭介。

俺も1年間お金貯めたんだからな?」


「うー、これから頑張ります…」


「まあ俺もFランクのカード余ったら格安で売ってやるから。」


「まじ?!」


「え、それ私もお願いしていい?出来れば可愛いやつ。」


「もちろん、最初は自慢しようと思って始めたけど皆でやった方が楽しいしな。」


ソロが楽だけどたまにはパーティの方が楽しいしな。


ご飯を食べながら話していると喉が渇く。

飲み物が切れた俺は2人に断って自販機に行った。


「何にしよ…

んー、でもやっぱりオレンジジュースかな。」


「おい!」


俺が自販機でジュースを買っていると後ろから声をかけられた。


「ん?えーと、なに?」


「お前、昨日はよくもやってくれたな!」


よく見るとその男は、昨日ダンジョンで俺に対して順番抜かしをしようとしたやつだった。




…同じ学校かよ。













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