第4話 報酬と進化
「はぁ、はぁ、少し苦戦したけど、GランクダンジョンでEランクのべドラはチートだな…」
コボルトソードマンを倒した俺はドロップアイテムを拾い、奥の扉の中に入った。
ドロップアイテムはコボルトソードマンが使っていた剣であり今俺が使っている短剣よりも少し強い。
(使っている、といってもまだ未使用)
「そして、お待ちかねの宝箱タイムだ!」
「ガウ!」
「キヒヒ!」
Gランクとはいえたった一人で攻略したのだ、達成感も一入。
(もちろんべドラやアンプのおかげではあるけどな。)
1人でダンジョン攻略をした事のある学生などほとんどいない、つまり俺は目標のうちの一つ、友達への自慢をこの時点でほとんど成し遂げたようなものなのだ。
「さてさて、俺達の努力の成果は…!」
宝箱を開けると、中にはFランクのポーション、そして虹色に光る丸い玉のようなものが入っていた。
「こ、これって…
いや、うん、調べた通りだ、間違いない…」
「進化の宝玉だ!」
進化の宝玉とは、本来条件を満たさねば進化のできないモンスター達を強制的に進化させることが出来る超希少なアイテムだった。
宝箱ガチャSSRの進化の宝玉、しかし質によってどのランク帯までのモンスターを進化できるのか決まるのだ。
今回は…
「Gランク、最低品質か…」
Gランクを進化させることしか出来ない最低品質の宝玉だった。
もちろんそれでもとんでもない事なのだがはっきり言ってDランク以上のそこそこ稼げるレベルの冒険者にとってFランクはドロップしたらラッキー程度であり、主戦力には使えない分売り物でしかない。
そんな売り物用に進化の宝玉を買う物好きなどいないため進化の宝玉は最低Fランクのものからしか買取はやっていなかった。
「丁度このダンジョンで手に入れたウルフがいたし…これもなんかの縁だ、使っちまうか!」
とはいっても、学生や駆け出しの冒険者にとってFランクは重要な戦力であるため当たりなのには違いない。
丁度あてたウルフのモンスターカードに使ってしまうことにした。
(そしたらあと1枚のFランクでギルドカードもランクアップするしな。)
「それじゃ使うか…っとその前に。」
「ベドラもアンプもお疲れ様!
今日はありがとな!お前たちのおかげで一日で攻略まで出来た!
まさかガチャでベビードラゴンなんて当たるとは思わなかったよ、売ってたやつみたら300万以上したし…」
「これからもよろしく、ってことで新しい仲間、呼ぶぞ!」
「ガウ!」
「キヒヒ!」
「来い!ウルフ!そして、進化の宝玉発動!」
ウルフが現れ、進化の宝玉を近づけると宝玉が光りだし、ウルフの姿が変わっていく。
進化先は主が選ぶことは出来ず、基本はそれまでの道のり、本人の感性などによって決まるためほとんどガチャのようなものである。
「何になるんだ…?」
光が収まり、そこに居たのは
「ワフ?」
ほとんど変わらないウルフの姿だった。
「あれ?失敗?失敗とかあんの?!」
と、一瞬焦ったがよく見ると違う。
白色の毛に一部、緑色が混ざっており、恐らくグラスウルフに進化したものだと思われる。
(まあほとんど草原で斥候してもらっただけだし、だいたい想定の範囲内だな…)
「ガウ!」
「キヒヒ!」
「ワフ?」
2匹は新しい仲間が嬉しいのかグラスウルフとじゃれ合っている。
(というか、Fに進化して戦力にできるようになったし、名前でもつけるか、せっかくだし。)
「おし、グラスウルフ!お前の名前は今日からラルフだ!よろしくな。」
「ワン!ワフ!」
渾身の命名をし(いつも通りの名前をいじるだけのやつ)正式に仲間入りしたところで、全員のステータスを見ることにした。
(相当強くなってるだろうな…)
名前 アンプ 種族 インプ ランクF Lv.8
HP 100/180 MP 140/350
物攻 35
魔攻 59
物防 26
魔防 45
俊敏 45
スキル
・闇魔法Lv.3
名前 ベドラ 種族 ベビードラゴン ランクE Lv.7
HP 280/500 MP 210/470
物攻 75
魔攻 70
物防 80
魔防 65
俊敏 70
スキル
・竜魔法 Lv.4
名前 ラルフ 種族 グラスウルフ ランクF Lv.1
HP 200/200 MP 100/100
物攻 45
魔攻 25
物防 25
魔防 20
俊敏 40
スキル
・探知 Lv.1
やはりソードマンの経験値が高かったのか、2匹はレベルが大量に上がっており、アンプはあと2レベルでランクアップ条件を満たす。
それにラルフの探知はこれから上のランク帯のダンジョンに挑む中でソロの俺の命綱になるだろう。
ベドラは全てのステータスが高く、ブレスと爪を使った物理と魔法の両刀型アタッカーとしてこれからも活躍してくれるはずだ。
(たまたまだけど、結構いいバランスのパーティになったな…)
普通、このランク帯でここまでパーティが充実することはほとんどなく、あってもお金持ちのボンボンくらいである。
もはや友達に自慢、といったレベルではなくアマチュアの大会くらいならそこそこの結果を残せるかもしれない。
「それもこれもベドラがきてくれたおかげだ、ありがとな。」
「ガウ?」
「ワフワフ!」
「キヒッ!キヒヒ!」
「いやもちろんお前らにも感謝してるよ!
こら、やめろって!」
ベドラ以外の2匹にじゃれつかれ、謝り倒した。
とりあえず攻略は完了したのだ、今日のところは帰る事にした。
「じゃあまた、次のダンジョンでな。」
「ガウ…」
「ワフ…」
ベドラとラルフが少ししょんぼりしながら近づいてきた。
アンプは相変わらずイタズラ好きな子供のような笑みを浮かべこっちを見ている。
少し寂しいが外でモンスターは出せない。
何故かは分からないが特殊な結界が貼られている場所やダンジョンの中以外だとモンスターカードは使えないのだ。
名残惜しいがカードにベドラ達を戻し、ダンジョンを出た。
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