第3話 攻略
「よし、そろそろいくか。」
「ガウガウ!」
「キヒ!」
休憩を終え、ベドラとアンプを引き連れ進んでいく。
あの後何度か戦闘をこなし宝箱も1つだが見つけていた。
宝箱から出たのはポーションだった、とはいえ最下級のGランクポーションだがそれでも大抵の切り傷、打撲などは治せる優れものだ。
「次で4層、これまでモンスターカードは1枚も落ちてない、か。」
確率的には数パーセントなのでおかしくはない、が、それでもテンションは下がる。
そして4層に入り、進んでいくとそこには喧嘩をしている4人組がいた。
会話の内容からしておそらくパーティなのだろうが連携がうまくいってないっぽい?
「もういい!私は1人で進むから!」
「お前が1人で?冗談だろ?」
「そうだ、こんなとこで喧嘩するのはやめろ、弘樹も反省しろ。」
「翠ちゃんも、ちょっと落ち着いて、ね?」
(なんかめっちゃ仲違いしてるし、通りにくいけど、ボスモンスターのとこで待ちたくないから、こっそり先いくか。)
俺は静かに横を通り抜けて4層を進んだ。
その後も何度か戦闘をこなしついに、
「手に入れたぞ!ウルフのモンスターカード!!」
売ったら1万くらいだが自分で買う時はなかなかに高い、狼系は進化先も豊富でなかなかに使い勝手がいいだろう。
(まあGランクを進化するまで使うやつなんてほぼいないけど…)
流石にGランクにまで名前をつけていたら死んだ時の蘇生費用がとんでもない事になるためそのまま使うことにした。
(幸いウルフは呼びやすいしね。)
そしてとうとう、第五層、大狼の小洞窟のボスモンスターがいる最終階層に着いた。
運良く他の人はまだ来ておらず、ボスへの挑戦権は一番乗りだった。
が、しかし
「おい」
突然声をかけられ後ろを振り向くとそこには先程揉めていたパーティが居た。
あの後どうなったのかは知らないが一応4人揃っていたこともあり丸く収まったのだろう。
(しかし何の用だ?)
「俺らが先に行くからどけ。」
先程揉めていた4人組、そのなかで一番荒っぽかった男がいきなりどけと、言ってきた。
(…はぁ?!)
ふざけんなと思いつつ一応返事をする。
「あの、俺が先に着いてましたから、先に挑戦する権利は俺にありますよね?」
「ガウ!」
ベドラも主人である俺に対していきなり舐めたことを言ってきた相手の男に怒ってるようだ。
(竜族はプライドが高く、自分の主人が舐められることは自分が舐められることと同義であるため怒っている。)
「お、おい、弘樹いくらなんでもそれは…」
「うるせぇ!こんな冴えないやつより俺の方が強えんだし、先に挑戦した方がいいだろ!
つか、こいつソロだろ?どんだけ待てばいいんだよ、その点俺らはパーティ、すぐ終わるんだからどいてろよ。」
たしかに、言ってることは一部正しい。
俺はソロでこいつらはパーティ、俺の方が倒すのに時間はかかるだろう。
しかし先にいたのが俺である以上どれほど時間がかかろうが待つのが冒険者のマナーである。
「あんたねぇ、いい加減にっ…!」
ガチャ
「あ、おい!」
なので無視して入ることにした。
(どうせ入っちまえば追ってくることはできないからな、無視無視。)
ダンジョンのボス部屋は1度入ってしまえば中からも外からも開けることはできない。
もちろんボスを倒せば開くがそれは入口からみて奥にある扉だ。
基本一方通行なのである。
そのため何十層もあるダンジョンではボス部屋ごとに転移陣が設置されておりそこから帰ることができるようになっている、らしい。
「さて、情報ではボスモンスターはコボルトソードマンかコボルトマジシャンだったと思うけど…」
どちらもFランクの獣族モンスターだ。
運によって出るモンスターは変わり、物理系モンスターしか持ってないものはコボルトマジシャンで躓くし魔法系だけならコボルトソードマンで躓く。
Gランクでもいいからある程度どちらも対応できるようにしとかなければならないのだ。
もっとも、物理系でも魔法系でもやりようによってはどちらも倒せるらしいのだが、新人は大人しく戦力を貯めてから挑もうという話だ。
そして今回の俺の相手は…
「コボルトソードマンか…」
今の俺ならなんの問題もなく対処出来る相手だ。
「いくぞ、ベドラは竜魔法で炎のブレス!
アンプは闇魔法でやつの動きを止めてくれ!」
アンプの闇魔法はなかなかに使い勝手がよく、デバフ系なら大抵、純粋な攻撃も出来るのだ。(もちろんレベルが低いから効果も弱い、もしくはまだ使えないものもあるが)
竜魔法はその名の通り竜が使う魔法。
ブレスや空を飛ぶのも魔法による補助が必要だ。(空を飛ぶくらいなら必要なMPが少ないため数値上ほとんど変化は無い)
アンプが闇魔法で闇の鎖をだし、足止め、その間にベドラのブレスで決着を付けようとしたが…
「ワフ!!」
一瞬で闇魔法による拘束をとき、ブレスをギリギリで回避した。
「クソ!同じFランクでもレベルに差があるのか…!」
相手はボスモンスターとして強化を受けたFランクのコボルトソードマン。
こっちのアンプは今日が初陣だ。
そのため闇魔法がほとんど効かなかった。
もちろんEランクのベドラの攻撃は脅威になり得ると判断して避けたのだろうから、このままブレスを連射すれば勝てるのかもしれないが…
「それじゃ上のランク帯で通じない…!」
「アンプ!完全な足止めは無理だ!相手の邪魔をする方に切り替えるぞ!」
「キヒッ!」
「ベドラはソードマンと正面対決だ!アンプの支援で隙を作るからそこを突け!」
「ガヴヴ!」
「ワフッ?!」
アンプが俺の指示により、直接的な妨害から気を逸らしたり、べドラとの攻防の隙間を縫って攻撃するためソードマンはそっちへの対応にも気が取られて徐々に傷を増やしていく。
そしてとうとうアンプの闇魔法による攻撃でコボルトソードマンの剣を弾き飛ばすことに成功する。
「キヒッ!」
「よくやったアンプ!
今だベドラ!炎のブレス!」
「ガウ!ガァァァ!」
べドラのブレスが決まりようやくコボルトソードマンは地に伏した。
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