現代ダンジョンモンスターズ

ソルト塩

新たな出会いとダンジョン

第1話 モンスターカードを買いに行く

ある時、突然世界各国に化け物の溢れる洞窟ができた。

それはダンジョンと名付けられ中の化け物はモンスターと呼ばれるようになった。

魔物たちは極稀にそのモンスター自身を召喚するカードを落とし、ダンジョンはそれを使った攻略が主流となっていった。


そして現在


「よし、よしよし、お金が溜まった!

ようやくモンスターカードを買いに行ける…!」


俺は魔使蒐人、友達が多いわけでも少ない訳でもない(と思う)高校2年生だ。

特に優れているところがない俺だが…


(今日、今日からは違うぜ!

俺はこの時のためにお金を貯めてきたんだ…!)


この世界にはモンスター達が落とすモンスターカードがあり、ダンジョンが出来てからそれなりに時間のたっている今、モンスターカードはかなりの数出回っていた。


そのためダンジョンの攻略はモンスターカードを使うのが主流であり、そもそも無くては入ることが許されない国も多かった。


例に漏れず我が国日本もモンスターカードが必須だった、しかしいくら多く出回ってるとはいえそれは弱いカードが多く、最低限戦えるようにカードを買おうと思うと中々高額になる。


つまり、


「学生が買うには高すぎるんだよなぁ…」


しかし、だからこそ学校生活におけるステータスとなるし、友達に対してもカッコつけることができる。


そのため俺は必死にお金を貯め、現在、ダンジョンとモンスターカード等のドロップアイテム、そしてダンジョンに潜る冒険者を管理するサモナーズギルドに来ていた。


市役所を更に大きくしたような見た目の建物に入り、受付に話しかける。


「あの、Fランクのモンスターカードの購入をしたいんですけど、、」


「冒険者登録の方はお済みでしょうか?」


「あ、はい、一応終わらせてます…」


そうそう、言い忘れてたけどダンジョンで使うレベルのモンスターカードには購入制限がある、それが冒険者登録だ。

簡単な筆記と運動能力試験を通過すれば取れるからお金さえあれば割と簡単に取れる。(学生が払う金額としては中々に高い)


「確認が取れましたのでこちらへどうぞ。」


ちなみに冒険者としての証、ギルドカードにはランクがあり、最低はFランク、最高はSランクとなっている。(本当はさらに上があるけどほとんどいないから実質Sランクが最高)


そしてEランクまでは手持ちのモンスターカードの数とランクで上がるから基本大人の冒険者はEランクだ。


(俺にももっとお金があればなぁ…)


そんなことを考えながら歩いているとカードショップについたらしい。


「こちらが当ギルドで扱っているカードになります、お選びになりましたらあちらのカウンターまでお越しください。

高額のカードは防犯の観点から目録とコピーの偽物を置いていますので、お手数ですがカウンタースタッフにお声掛けください。」


「あ、ありがとうございます。」


案内してくれた受付の人はそういって戻っていった。


(というか、とうとうだな…!)


俺はこの日のためにFランクのカードをある程度調べてきていたが、まだ決めかねていた。


候補としては3種類。


・鬼族のゴブリン

・悪魔族のインプ

・死霊族のマミー


この三種類なのだが、選んだ理由としてはゴブリンはゲームとかだと弱いイメージだが鬼族だけあってFランクの中では力が強く、シンプルに使いやすい。


インプはFランクの中で唯一といってもいいまともな魔法アタッカーであり、マミーは生命力が高く、1度死んだら蘇生にかかるコストを払えない最初の方はとりあえずこいつを選べと言われるくらいに死ににくい。(もちろんFランクの中で、という話だ)


しかしそれぞれデメリットも多く、ゴブリンは力が強いが状態異常や魔法に弱く、インプはその逆で魔法や状態異常には少しばかり耐性があるが肉体が貧弱であり魔力が切れたらお荷物となる。


マミーは魔法は使えないが力は強く(ゴブリン程ではない)、命令に従順、オマケに死ににくいが命令されなければ攻撃を受けても反撃すらしないので使いにくい。


(最低ランクのGランクモンスターも使うとはいえマミーはデメリットが大きいか…?)


そうそう、言い忘れていたけどGランクってのはダンジョン攻略の主力としては使えないレベルのカード、これは冒険者にならなくても買えるやつなんだけど、最初はFランクだけで戦うのは金銭的にもしんどいから安いGランクを数体サポートにつけるのが多い。


(サポートを前提にするならインプもありか…?)


物理的方面のステータスが軒並み低いことを除けばそれなりに優秀であり、一撃の火力も高いインプはサポートで物理を固めるのならありな気がしてきた。


(インプの値段は…16万か。)

ちなみに今日の予算は30万だからGランクを多めに補充できる。


(もしくは俺自身の装備とかを揃えるか…?)


Gランクは安ければ3万くらいである、だからこれだけあれば物理でインプをカバーするのは十分可能なはず、なんだが…



《カードガチャ!!1回10万円!!》


こういう運要素に引かれるのが男なんだよなぁ…


いや、俺もさすがに30万ぶっぱはしないよ?うんうん、でも1回くらい引いてもいいと思うんだよね。

出るのはモンスターカードではあるわけだし?

うん、なんの問題もない、はず!


(一応排出確率みたいなのみたいけど…)


《最低保証:Gランクの中でも最低限戦闘能力のあるモンスターカード》


《最高ランクD!》


(Dランクっていったら、数百万はするカードだぞ…!

引きたすぎる…!!)


あまりの誘惑に負けた俺は1度引くことにした…


「たのむ、!でろ!せめてFランク!!」


ガチャガチャからでてきたのは、


(カードじゃ、ないな)


開けてみると番号の書いてある紙が入っていた。


(こういうシステムなのか…)


出たのは47番、なんとも中途半端な番号だった。


(大当たりの可能性は低いかな…)


「あの、ガチャガチャ引いたんですけど、」


「ああ、あれか、紙を渡してくれ。」


受付に持っていくとガタイのいい男の人が居り、モンスターカードに交換してくれた。


「よし、見るぞ…!」


スリーブに裏向きに入ったカードを目をつぶって取り出した。

恐る恐る目を開くとそこにはEランクのモンスターカードがあった。


「勝った…!!!」


俺が当てたのはEランク、それも竜族のベビードラゴンだった。

竜族の中では最弱だがモンスターの中では間違いなく最強といえる竜族である。


あらゆるステータスに弱点らしきものはなく、魔法も使え、物理にも優れるレアカードだ。


体は小さいが空も飛べるため利便性も高い。


(同じく空が飛べて魔法の使えるインプと組ませたら瞬間火力なら同ランク帯に敵はいない…!)


すぐさまインプのモンスターカードを買い、その他の装備も整えることにした。


「カードホルダーにもしもの時のための短剣、動きやすい皮鎧、これだけで7万…」


全然予算オーバーである。

とはいえギリギリ払えないこともなかったので必要経費として払ったが、これで稼げなきゃ友達にカッコつけるどころか遊ぶための金もない。


「でもさすがに、Gランクモンスターカードは買えなかったけど、最低ランクのGランクダンジョンならインプとベビードラゴンがいればなんとか、なるよな、?」


兎にも角にもお金は使い切ってしまっている。

これで潜るしかないのだ。



早速、ダンジョンに潜りに行くか。





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