ひなまつり

@curisutofa

ひなまつり

って知ってる?』


十四歳の男女四人で共同生活を送る自宅内で、黒髪シュヴァルツき親友が、出し抜けに生まれてから一度も聞いた事の無い単語を話しましたので。


ですか?。生まれて初めて聞いたと思います』


四人掛けのテーブルを囲んで紅茶を飲んでいます私は、長椅子に並んで腰掛けている黒髪シュヴァルツき親友に対して答えましてから。向かい側の席に並んで腰掛けています、唯一対等な相棒クンペルと、命の恩人でもある可愛らしい女性に、瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳による視線を向けまして。


『二人はという存在を、聞き及んだ記憶はありますか?』


私の問いに対して唯一対等な相棒クンペルは、ミスリルズィルバー製の髪飾ハール・シュムックりを着けています、銀白色ズィルバー・ヴァイスの髪の毛を揺らしながら左右に首を横に振りまして。


『初耳ね。貴女は聞いた事はある?』


唯一対等な相棒クンペルが、緑青色ギフト・グリュンの瞳による視線を、長椅子に並んで腰掛けている同性の可愛らしい彼女に向けて尋ねますと。


『私も記憶には無いわね?』


共同生活を送る同い年の私達が、誰も聞いた事が無いと確認をしましたき親友は。


東洋オリエントでの慣習だけれど、毎年三月三日に小さな女の子の居る家では、雛人形ひなにんぎょうを飾り調度品をそなえ、菱餅ひしもち・白酒・桃の花などをそなえる行事なんだって』


成る程。き親友である彼は、幼い妹が実家で暮らしていますから。遠い東洋オリエントでの慣習に関心を抱いたのは、妹に関連する行事であると認識したからなのですね。


『素敵な慣習ですね。トホターすこやかな成長を願う気持ちが込められていると感じます』


私の感想を聞いたき親友は、満面の笑みを見せまして。


『うん。ボクも素敵な慣習だと思ったから話したんだ♪』


私達とは異なる文化圏の慣習の中にも、子供のすこやかなる成長を願う気持ちが込められている行事は数多くあります。


『私達で再現しても良いかも知れませんね』


私の提案に対して同い年の友人達は、お互いの顔を見合わせましてから、揃って笑みを見せまして。


『うん。素敵だと思うよ♪』


『異国の文化を学ぶ機会にもなるわね♪』


『私が料理を作るわね♪』


多分異国で暮らす十四歳私達が再現するひなまつりは、本物とは似ても似つかない代物となるとは思いますが。それでも異なる文化圏で行われている、子供のすこやかなる成長を願う行事に対する敬意を欠く事無く、再現を試みる事は出来ます。


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