第2話 夜空を灯す、猫の歌
馬小屋の藁の中、外の騒ぎで瞼まぶたが開いた
荷馬車に多くの亜人が乗せられている
それを見た人間の民が、皆で小石を投げつけていた
それはトカゲの亜人だった、大きな身体に硬い鱗。
鋭い牙が恐ろしいが、生気を感じられない。
絶望している様子だった。
《『クロ』、、まただ、、人間って奴はどうも気にいらねえ》
「そう言うてやるな『オニ』 弱いが故、強き者を蔑さげすみたいのだろう、哀れな生き物よ」
私達は互いに名を付けあった
私は『クロ』こいつは『オニ』
死ねぬ身体に餌はいらぬ
ただ2人で話をし、景色を眺めた。
孤独でないというのは
こうも安らぐものかと関心するほどに
月夜に、2人で炎を出し合って遊んだ
私の二尾を、互いに一本づつ使って。
私の青い炎を見て、それならコレはと
オニは赤黒い炎を出した。
ならばと私は白い炎を出した
オニは負けじと黒い炎を出す、ただ夜中だったため
黒い炎は見えづらい。
オニがしょんぼりするものだから
『黒い炎など見た事も聞いた事もない』
と驚いて見せた。
オニがあまりにも嬉しそうにするので
私も嬉しくなった。
ああ、この残酷な世の中で
なんと幸せなことなのだろうか。
夜空を見上げ
私は歌う
冬の闇 孤独に耐へし 二匹ふたりいま
青火と赤火 楽しく灯せり
オニも歌った
冬の月に 白火と黒火 踊り合い
寂しき夜を 遊び灯せり
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