第23話 霊への気持ち その2
【具志堅沙苗】
「お父さん、まずは、麦子さんの話を聞きませんか?」
とお父さんが言いました。
「私も、聞きたい。」
とお姉ちゃんも続けて言いました。
麦ちゃんは、
「話していいねぇ?」
と、落ち着いた声で言うと、
私の
お姉ちゃんが、
「健一、人でなし。」
と怒っていました。
お父さんは、黙っていました。
私は、また、涙が出てきました。
宮城君は、呆れた様子でした。
そして、麦ちゃんはなぜ美奈子さんがお母さんに憑依してしまったのかを話してくれました。
「逆恨み、じゃないか。」
そして、
「まあいい、それで、貴子からその霊は除かれたのか?除霊ってやつは済んだのか?」
麦ちゃんに向かって、聞いてきました。
麦ちゃんは、何を言っているのと言う顔をして、
「『除霊』って、霊を除くって話ね。それは、やっていないよ。」
と、答えました。
私と宮城君を除いて、お父さん、お姉ちゃん、
麦ちゃんは、
「私がやったのは、『除霊』じゃないよ。『霊』に『情け』を掛けるで『
お姉ちゃんは、興味が湧いたらしく、
「『除霊』と『
「除霊は、あくまで、霊を憑依している人から無理やり剥がすことだね。除くだけだからね。」
「『
「霊に情け、何を言っているんだ。死んでいるんだぞ。」
そのとき、静かに、宮城君が
「霊の声は、だれにも聞こえないんです。その苦しみ、悔しさ、悲しみもずっと無視されるんです。」
「誰かが、その声を聴いて、その思いを分かってくれることだけでも、霊には、十分なんです。」
「祖母は、それをやっているだけです。」
宮城君は、確信を持った力強い目で、
「『除霊』でも『
「それで、その『
麦ちゃんは、
「いらないよ。お金は。私、給料もらっているしね。自分の会社から。」
お姉ちゃんが、
「麦ちゃんって、会社経営しているの。社長なの?」と、聞くと、
「そうだよ。泡盛の酒造会社を持っているさ。私が持ってきた泡盛、私の会社の泡盛さ。」
と答えました。
「かっこいい。」
また、お姉ちゃんの麦ちゃんへの評価が上がったようです。
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