第13話 I WILL BE WITH YOU

「このチャンネルであってるのかね? 聞こえるかね? 伝説の弟君。私としても貴重な時間を割きたくはない。手短に話を済ませたいんだがどうだろうか? 聞こえているのなら今ここにいる君の友人に何か一言くれないかね?」

 息が、止まった。

「……聞こえているのなら返事くらいしたらどうなんだね? 少なくとも君のお兄さんはもう少し愛想がよかったと思うんだが」

「カン、は無事なのか……?」

「それでよろしい。では手短に。君たちは政府に歯向かう反逆者として扱うことに今取り決めた。私はこの国の長としてどんな手段を用いてでも脅威を取り去るつもりだ」

「何をいまさら……人に向かって銃を撃っておきながら聖人を気取るつもりか?」

「それがこの国の代表の務めだ」

「俺のことなら気にするな! 早いとこ連中を打ち落としてくれ」

「私としたことが猿轡を忘れていた……。まったく自分の立場をわからない子供だ」

 騒々しい物音と、カンのうめき声。

「国の代表として自ら手を汚すわけにはいかんのだよ……。これは君たちから仕掛けた戦争だ。覚えておけ」

 ブツっと音を立てて切れた無線。相変わらず手元は忙しいけど、恐ろしく静かな時間が数舜たったとき、あまり聞きたくない連絡が盛大な鬼ごっこに割って入ってきた。

 北東の方向、視界の端で白煙が上がっている。武装をしていない僕はもちろん、その先にある何かに対してジンの流れ弾が当たったところで発煙するわけがなかった。

「おいフロント見えるか?」

「……あぁ」

「……あの方向って確かリンクスの病院が」

 田舎者であったことをこの瞬間ほど呪ったことはなかった。この町に生まれてきたかったと思ったことも、都市部の道に疎いことも死ぬほど後悔した。

 ……煙に巻かれたリンクスが屋上でさみし気に立っているのが見える。

 病院を攻撃したんだろう。僕らの投降を狙って。

 そして病院では今頃パニックを起こしているに違いない。リンクスはその混乱からはぐれてしまった。助かるかもしれないと一人屋上に逃げ込んで。

「おいリンクス! 聞こえるか俺だ!」


 ──これからは舐められないように態度も変えていかないとね。


 リンクスが言っていた。僕は、いや俺は優しすぎると。


 ──何? 意味を知りたかったらちゃんと来てね? 遅れてきたら承知しないんだから。


 あの時のキスの意味をまだ俺は聞いていない。

 気が付けばコースから外れていた。もう勝つこともレースもどうでもいい。リンクスが危ない。あんな所にいたら命の保証だってきっと……。

 後方の敵機の襲撃が続いている。躱すたびに激しく揺れる。もう、向こうもレースはどうでもいいらしい。僕とジンの存在を消せればそれで。

「おいフロント! お前の動き読まれてるぞ! 旋回しろ!」

 ジンの言う通り後方には敵機がいた。急旋回すると狙いは外れて地上の街路樹がハチの巣になり、ささくれた繊維をむき出しに倒れていく。あれは間違いなく、人を殺せる。

 逆走してきたほかの敵機が僕の進行を阻む。挟み撃ちにするつもりらしい。

「くそっ!」

 機首を上げて遥か空へ。

「おいフロント! 少し冷静になれ。あくまで狙いは俺たちのはずなんだ。だから連中はレースを放棄してやってきた。俺たちが離れれば連中もついてくるはずだ」

「……そんな保証は!? 連中は俺たちに秘密で武装もしていたんだぞ」

「その考えは正しい。人は完璧ではないのだ。疑念を抱くのは当然」

 このくそ忙しいときにまた大統領の無線だった。

「どうやら君たちに近代兵器の類は時間の無駄らしい。まったく感服したよ。大したもんだ。それゆえに残念だ。私の持ちうる最大の力でこの国から君はいなくなるのだから」

「悪いけど今忙しいんだ。戯言は後にしてくれるか大統領?」

「そういえば君のお兄さんも危機的な状況に陥ると口調が変わったな。あっちの国に行ったら兄さんにもよろしく言っといてほしい。私の手違いで死なせることになって申し訳ないと」

「……やっぱりあんたが」

「君たちはこれから未曽有の大災害に巻き込まれる。これはもう決まったシナリオなのだ。今まで通り覆せない。……出せ」

 またブツっと切れた無線。そして、雲から波打つように幾千もの銀翼が流れ出てきた。

 こんな状況で減速なんてできない……! 操縦桿を握ったまま突っ込んでいく。

 攻撃をされる危険性もあった。地上の都市部に転がる瓦礫の仲間入りになるかもしれない。その思いが頭をよぎる。それでも速度だけは落とさずにいたら、どういうわけか敵機は何もしてこなかった。

 よくわからないけど、もしかしたらここでならリンクスを危険に巻き込むことなく先頭に集中できる、と思った矢先だった。

 雲を突き破るように巨大な何かが顔をのぞかせた。

 それは巨大な船のようにも見え、古に伝わる巨大な龍を思わせた。

「見えるかねフロント君? 私はここだよ」

 突然現れた巨大な母艦、突然明瞭になる無線。

「驚くのも無理はない。この機体はまだ来賓の皆様にもまだ見せていないからね。なに、たいしたことではない。計画の前に君たちでこの母艦のテストをしてみたいと思ってね」

 聞いている間にも雲の間から伸びる砲身が次々と照準を合わせていく。

 狙いは決まっている。

「実のところを言うと計画を実行するには少々予算が大きくてね。出来ればこれであきらめてほしい。私からの最後の願いだ」

 閃光が放たれる。

「フロント!」カンの声が無線から聞こえた。

「フロント君!!」とぎれとぎれの無線が聞こえる。

「よけろフロン」

 ジンが僕を呼ぼうとした。よけろと言われたのもわかる。でももうその瞬間には意識が遠のいてしまって、操縦桿から手を放していた。

 死ぬ。その二文字が大きく頭を占領した。

 墜落。その二文字がどこか心を落ち着かせる気がした。これで、楽になれる。もう兄さんをなくした時の悲しみや、無力感を味わわなくても済む。もう自分を責めなくても眠りにつける。

 そんな気持ちが暗闇をよぎった瞬間、何かが額に落ちてくる。

 薄れる意識の中、胸元に開いたそれが示したのは──


 ──フロント!


 意識のはるか遠くでリンクスが僕を呼んでいるのがわかった。白煙が上る都市の真ん中で、口元に手をあて、僕を呼んでいる。

 リンクスからもらったリンクスの宝物。その銀のロケットにはきっと兄さんの写真でも納まっているのだろうと思っていた。ずっとリンクスは兄さんのことを……。

 でも実際は違った。

 もう何度も開けたせいで傷だらけになってくたびれたそのロケットの中の写真は、まぎれもなく僕だった。

 兄さんとリンクスと僕で取った初めての写真。二人は笑って手を挙げているのに、僕はそんな二人が気に入らずふてくされた顔をしていた。

 そして裏蓋にはこう記されていた。


 ──不出来な弟だけど、どうか頼む


 僕はあの日、ただブラウン管を眺めているだけだった。叫ぶことも、悲しむこともできないで、ただ体から何かが抜けて落ちていくのを感じることしかできなかった。

 そのくせそれから毎日、僕は兄さんの存在を勝手に信じて生きてきた。

 無力で何もできなかったあの日を隠して。


 ──大切なのは、踏み込みと、間合いと


 「気合だぁぁぁっ!」

 機首を上げ、即座に軌道修正をかける。

 墜落すれすれだったようで、交通規制がかかっている都市部の道路に土埃が舞う。

「墜落してしまえば良かったものを……。おぉ! なんだ!?」

 無線越しに大きな物音と衝撃が伝わる。雲の間から白煙が上がっているのがわかる。

「親父に一撃食らわしてやった! リンクスのところに行くなら今のうちだぞ」

「……いいのか?」

「あぁ。これからまだまだ親父にはプレゼントがある……。正直忙しい。リンクスを病院に連れて行かないとならないだろ?」

 リンクスがいた病院はこの国で一番大きい。同等の規模の医療施設を求めるなら、隣国しかない。

「迷うなよ! お前は誰の弟なんだ!?」

「俺は……、イーギス・フロント! 伝説の弟だ!」

 スロットルレバーを握る右手。その親指にはいつも例のボタンが触れていた。

 光沢のあるてんとう虫に似た赤いボタンを一度押せば、次元の違う速度ですべてを凌駕する。

 待ってろリンクス。

 スッと小さく深呼吸をして、そのボタンを押し込む。

 ドンッという爆音とともに射出される愛機「リンクス」

 兄さんがいなくなったあの日と、兄さんがいたこの日をつなげる。

 ジンに迫る銀翼の群れの間を超高速で突き抜ける。鋭い切っ先にも似た軌道を描いて。

 そして直後、爆音が後方で上がる。

 音速を超えた物体が通過すると起こる現象、ソニックブームだ。おそらく無人機が何基か激突して墜落したのだろう。

「……音速を、超えやがった!?」

 ジンが驚いた口調で聞いてきた。

「兵器ではないけど、父さんからのプレゼントだ」

 病院の屋上でリンクスが祈るように待っていた。あたりは白煙あおられ、がれきも散乱している。本来着陸にはそれなりの強度のある滑走路でないとならないが、この際そんな余裕はなかった。

 長さはせいぜい数百メートル。病院の屋上に着陸し、そして離陸をする。

 しかも状況からしてチャンスは一度だけときている。

 これに失敗すれば機体はおろか俺もリンクスも崩れゆくがれきと同じになる。

 迷っている暇はなかった。

 高度を下ろし、速度を緩める。

「うまくいってくれよ!」

 フェンスを突き破ると同時に、機体は激しく揺れた。ここからじゃよく見えないけど、コンクリートにも亀裂が入っているに違いない。今まで重心が後ろに持っていかれていたのが前身に持っていかれる。体が悲鳴を上げるように吐き気を催す。

「リンクス!」煙に巻かれてむせる俺に、リンクスは駆け寄って抱き着いた。

「怖かった」

「行こう。兄さんが待っている」

「うん」

 初めて空を知った日のように、リンクスが俺の後ろの席に座る。真っ白な病衣をまとったリンクスを後ろに乗せるのはなんだから気が引けたけど、二人一緒なら怖くなかった。

 リンクスに酸素マスクを渡す。本当ならこれがないと音速移動中は息ができない。

「俺を信じてしっかりベルトを握っていて」

 リンクスは笑う。

「なんだか私が最初に教えた日とは違うみたい」

「行くよ」

 ゼロから一気にマックススピードまで持っていく。それ以外、この状況は打破できない。

 リンクスの息遣いでタイミングを計り、スロットルレバーと同時にボタンを押し込む。

 進行方向のフェンスが空爆で吹き飛んでいたのは不幸中の幸いだった。そのままの勢いで空へ。

一気に襲う重力の圧。でも素潜りなら得意だ。重圧でも水圧でも圧は圧だ。

 ただ少し、後ろのリンクスが気がかりだった。けが人だ。この圧に耐えられるかどうか。

 超音速を悲鳴を上げながら耐える愛機、その中の俺たちも潜水にも似た時間を黙殺して耐えていた。

 音速飛行が可能な時間はおおよそ十秒。

 けがを負っているリンクスは何とか耐えてくれた。

「大丈夫?」問いかける俺にリンクスは苦々しく笑う。

「うん……でもちょっと」

 さすがにきついか……急いで隣国へ行かないと……。

「姫君との感動の再開はすんだのかね? 君が戦線を離脱している間に我々の方が優勢になったようだぞ?」

 大統領の無線で頭上を仰ぐと、空一面に銀翼が舞っていた。渦を描くように飛ぶ幾千もの翼は、空がもともと銀色だったかのように無限に広がっているように見える。

 その中に、一機だけ鼻先が赤い機体が見えた。その姿はマッチ棒の先端のように小さく、心細いものに見えた。

でも、

「聞こえるか」

「あぁ。ずいぶんと劣勢じゃないか」

「楽しくなってきたろ?」

「勝算はあるのか?」

「誰に口聞いてんだ? いいからリンクス連れて逃げろ」

「お前はどうする?」

 言いながらゴールのある視界の端に目が行く。あの無数の銀翼が現れてから、どうも砂塵が増えて行っている気がする。まるで風が強くなったみたいに。

「太陽光収束システムという」大統領からの無線だ。

「あれ以来まだ未完成だったのをようやく調整まで終えたところだ。フロイト君の時のようにはいかないだろう。消息不明などとあいまいな結果にはしない。国境を超える君を待っているのは確実な死だ」

 銀翼の群れが太陽光を反射しているらしい。直視できないほどのまぶしい光線でキャノピー越しでもわずかに熱い。兄さんもこの日差しを浴びたのだろうか。そう思うとなんだか兄さんと同じレベルに達したような高揚感と、兄さんを計画的に始末した大統領に怒りを覚える。

 兄さんは国の機密を知ってしまった。多分俺たちと同じ国際的行事を装った兵器の密売。それを確かめるべく、国境を渡り証拠をつかもうとしたんだ。そして今、それを継ごうとしている俺を、あの日と同じ状況が追い詰める。

「何が太陽光収束システムだ。そんなに他国が怖いか? 兵器の密売もしているのに」

「怖いさ。だからこの国で売られている兵器の前世紀のものを渡している。性能も安定していると箔をつけてな。私は人間が嫌いなのだよ。絶対に嚙みつかない犬がいないように、絶対にミスを犯さない人間もいない。この国が最も強い国であり続ける限り、世界平和は保たれる。君にはわかるまいがな」

「人の話に勝手に割り込みやがって……。でもそれって要するに、他国の来賓者ってのを同じ土俵の人間として扱っていないってことだよな親父?」

「そうだ」

「それってつまり、俺のやってきたことと同じことなんだよなフロント?」

「あぁ……。そうなるかもしれない」

「……俺は決めたぞ。フロント、俺は……あの太陽を落とす。お前はリンクス連れて見てこい。お前の兄貴が命を賭けてまで何を見たかったのか、この国が欲しかったものが一体何なのか」

「ジン……」

「俺は、わかったんだ。他人を認めず、自分だけが優れているって考えを持つとどんなにつまらない人生になるかを……。こういう友達の作り方があるってことも。……だから」

 ジンからの無線が静かになる。

 友達。ジンとそういう関係になれるとはとても思えなかった。少なくともこの大会に出ないとならない状況に陥るまでは……。

 突然衝撃が機体を襲い、唐突に前のめりになってしまう。

 眼下のヤシから真っ黒な黒煙が上がり、炎が覆うように揺れていた。

「今なら……、投降すれば懲役刑だけで許してやろう」大統領の無線、その中で何かの装置を叩くような音がかすかにした。

 警告だ。今ここで投降しないと確実に当てるという。

 後ろには手負いのリンクスもいる。無茶な操縦はできない。

 ジンも微力な装備で前人未到の空中戦を繰り広げていて余力はない。

「……わかったよ」口がそう言いかけて、空気だけが漏れた瞬間、


──本 にこのチャン ルであっ る? なんか雑音がひど て聞き取れないんだけ !? ……フ ント君 待たせ! この放送はも みん に聞いてもらっている ら、あなた 何も心配しなく いいわ。飛 なさい。


雑音交じりでとぎれとぎれの音声だった。

「な、なんだ! 誰だ貴様は!?」

「あら、お久しぶりです大統領。私ジン君の担任をさせていただいておりますマチルダと申します。私のかわいい教え子が大会に出るというので観戦しておりましたの。武装の件、あえて二人には伝えずにこの大会を開いたのね。リンクスさんまで使って。自分だけそんな空調の利いた部屋で部下に指示だしして袋叩きを見学? そんなに見たければ見せてあげるわ! みんな行くわよ! 早く私の機体に乗って! 官邸までならものの数分でつけるわ!」

 明瞭な音声に変わった後、マチルダ先生の背後から怒号のような音の波が流れてきた。きっとマチルダ先生の説得に応じた人たちだろう。

「まさか街の連中を……!? 致し方ない……砂の風で浄化だ。この国ごとフロイトのもとに送るのだ! 急げ!」

「……ハッ。親父の奴音声きり忘れてやがる。こりゃ本気で来るぞ」

「ジン」

「あぁ。わかってる。お前は行け! そんで伝えろ! この国が一体何を隠しているか」

 気づけば太陽が雲隠れしたようにあたりが暗かった。まるで終末。そんな暗さだった。

 ちょうどまっすぐ行けば兄さんが消息を絶ったアムール砂漠だ。

 少しばかり弱気になっていたせいで速度はずいぶん落ちていた。離陸姿勢といっても言い過ぎじゃないほどに。

 強く、スロットルを握る。

「フロント……」

 リンクスがあの日のようにまた俺の耳元に声をかける。

 ……あぁ、わかってる。

「行くよ。兄さんが待ってる空に」


 死んだかと思った。

 残りの燃料をすべてつぎ込むつもりで、大統領が装置を発動する前に何とか国境を越えようと一か八か三度目の音速の壁を越えた。機体が持つ保証も、リンクスがこの重圧に耐えきれる保証もない。強烈な砂嵐がキャノピーを叩いた。わずかに亀裂がキャノピーに走った瞬間、急に砂嵐は止んで広がる景色に息をのんだ。

 死んだかと思った。

 何のために生きているのかわからない日々を送っていたくせに。

 死んだかと思った。

 だとすればこの目の前に広がる景色はきっと天国なんだろう。

 大きく穿った蟻地獄の巣のようなすり鉢状の形状の大地。そのくぼみに、エメラルドグリ―ンの水が風に逆波を立てている。サラサラで、乾ききっていて、見たところでなんの感情もわかないただの砂のはずなのに、今はその器ですらきれいだと思える。

 死んだかと思った。

 死んだかと……。

 でも、生きている。

 目の前の景色をきれいだと思える。

 息をする、吐く、そして、

「……きれい」

 後ろから聞こえるリンクスの声。

 生きていて、よかった……!

「……命の恩人が聞いてる前であんまりいちゃつくなよ。お前との決着はまだついてないんだぞ?」

 無線も無事らしい。

「何が見える?」

「……くぼみだ。蟻地獄の巣みたいになだらかなくぼみ。でも自然にできるには大きすぎる」

「グランドゼロか」

「着弾地点だろ……? もったいぶるなよ」

「一応これでも自警団のパイロットだった男だぞ?」

「フロント見て! あれ!」

 後方から伸びてきた指先のその先に視線を移すと、人影が見えた。

 その人影は、ここからじゃ遠くてあまりよく見えないけど進行方向には見覚えのあるものがあった。

 砂漠の真ん中、エメラルドグリーンの湖の畔。そこには炎を模した鷹の意匠のある機体が。

「兄さん!」

 聞こえるはずのない声、気づくはずのない存在に気づくはずがない。それでもその人影は空を見上げた。

 あまりの太陽のまぶしさにフードからわずかに顔をのぞかせて。

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I WILL BE WITH YOU 明日葉叶 @o-cean

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