音楽から始まって終わるまで

諏訪彼方

　大学のキャンパスに春の光が差し込む中、私は部室に向かう道を歩いていた。私は過去に縛られていた。家庭の問題と心の傷を抱えた私は何もかもを新しく始めたかった。だからこそ、音楽の道を選んだ。音楽サークルを立ち上げた。しかし、音楽は私にとって痛みを呼び覚ますものでもあった。ただ、私にはそれしかない。私は曲を作ることで傷を癒すしかなかった。

　高校3年間で独学で作詞作曲を学んで、編曲までできるようになった。サークルを作ったのは部室を用意したかったから。1人でやるつもりだった。大学側にはいずれメンバーを入れるからと押し切ってサークル活動の開始を申請した。

　通るわけないと思っていたけど、なぜかすぐに認可された。

　これで思う存分好きな曲が作れる。

　さて、記念すべき1曲目はどんなイメージで作ろうかな。