第3話

「でもね、こーしてたまにあやねみたいに人が来るの。だから僕は来た人たちと今みたいにお話しして時間になったら、見送る。そんな生活を送ってるんだ。」



寂しくないの、と思わず聞いてしまった。



「寂しいよ。けど、ここで出会えたってことは、きっと何かの繋がりがその人と会ったからだって、僕は信じてるから。だからきっと、また会えると思うんだ。」



そう言って、彼は微笑んだ。

儚い笑みだった。



「あやねはどうしてこの部屋に来たの?」


「あっ、私オカ研に入ってて、この学校の七不思議の七つ目について調べて…。」


「オカ研?オカ研ってなぁに?あと、七不思議の七つ目ってどういうの?」


「オカ研はね、オカルト研究部のこと。七不思議の七つ目は、」


「黄昏時に学校のある場所に行くと、その時だけ現れる部屋があるっていうやつ。」


「そっかぁ。それで、あやねはここにたどりついたのかぁ。」



私は頷く。



「あやね、噂の力ってすごいと僕は思うんだ。たとえ、その噂が本当じゃなかったとしても、たくさんの人が信じ込めば、疑うってことをする人がいなくなったりする。噂だったことが本当のことになってしまう。そんなことがあると僕は思うの。だからね、あやね。気をつけてね。」



私は、ただ黙って頷くことしかできなかった。

彼が真面目にまるで過去にあったことのように話していたから。

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