第四章

seventh

夏休み

8月の上旬、私たちの学校は夏休みに入った。今は部活の練習に来ている。


実は、3日前にインターハイが終わったばっかりだ。


惜しくも3回戦敗退という結果になってしまったが、みんなやり切った様子だった。


全国でここまで結果を残したというのもあってか、いつもより見に来る女子の数が多くなった気がする。



『乃蒼ちゃん、花火大会行く?』


『あ、徳島先輩。行かないと思います。』


『そっか、誰かに誘われたら行く?』


『たぶん。』



突然、徳島先輩から2週間後くらいに開かれる花火大会の話が出た。


正直、花火大会は好きではない。花火が打ち上がった時の大きい音が苦手で、どうしてもちゃんと見ることができないのだ。


すると休憩時間なのか、蓮がこちらにやってきて言った。



「夏美、花火大会一緒に行かね?」


『え?…うん、行く。』



心なしか2人とも顔が赤い。ほんとに幸せそうだなぁ。



『っ!ちょっと蒼生、蓮もこっち来て。』



徳島先輩に呼ばれてどこかへ行ってしまう3人。


今日も今日とて徳島先輩にナチュラルにイケメンを出してくる自分の兄に感心してしまう。


そういえば体育祭での蓮の借り物競走のお題は“大切な人”だったなぁ。そこでもしっかりアピール(?)してたしな。


たしか全校でめっちゃ話題になったんだ。私も何回いろんな人に問い詰められたことか。


そんなことを考えながら仕事をこなしていると、いつのまにか部活の時間が終わっていた。


部員全員で終わりの挨拶をした後、一ノ瀬先輩がやってきた。



「乃蒼ちゃん、ちょっといい?」



先輩に呼び出され、体育館の外に出た。



『どうしましたか?』


「あのさ、15日って予定ある?」



15日…はたしか花火大会の日だったはず。



『何もないですよ。』



それを聞いた先輩は耳を赤くする。



「じゃあ、俺と一緒に花火見に行かない?」



え…?


まさか先輩に誘われると思ってなかったので、目を見開いてしまう。



『い、行きます!』


「ほんと?よかったぁ〜。」


『あの、何で私なんですか?』


「乃蒼ちゃんと一緒に行きたいところがあるんだ。楽しみにしてて」


『……はい。』



一緒に行きたいところってどこなのか検討もつかないけれど、先輩と出かけられることが嬉しかった。


その様子を見ていたのか、蓮と徳島先輩が物陰から出てくる。



「お前らも行くことになったんだな。」


『楽しんできなよー?あ、そうだ!』



急に何を思い立ったのか、徳島先輩がこんな提案をする。



『もしよかったらさ、4人で行かない?』


「お、いいじゃん!なんか楽しそうだわ。乃蒼と蒼生はどう?」


「俺は別にいいけど。」


『私も賛成です。』



ということで今年の花火大会は、蓮と徳島先輩と一ノ瀬先輩と私の4人で行くことになった。

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