入学式 2

教室に入るとすでに結構な人が来ていて、ざわざわしていた。


うぅ…。こんなに人が居ると緊張するなぁ…。


この中でちゃんとやっていけるのかな…。


席を確認すると、楓は1番前の列の窓側、私は廊下側から3列目の真ん中の席だった。


あぁ、席離れちゃった…。なるべく知ってる人の近くがいいんだけどなぁ…。


まあ、こればっかりはしょうがないか。


荷物を置いて椅子に座ろうとすると、廊下からいきなり大きな歓声が上がった。



「おい、見ろよ!モデルのYukiがいるぞ?!」


「うそだろ!?本物じゃんか!」


『キャーーーー!!Yukiちゃんだ!!』


『え、この高校に入るって噂はほんとだったんだ!?マジやばいじゃん!』


『近くで見ると可愛さ倍増してるんだけど?うわ、尊い…。』



そんな声が聞こえて、みんな気になって廊下に出ていく。


え、Yukiって誰?こんな近くに有名人いたんだ…。


そう思いながら私も廊下に出てみた。


そこには切りっぱなしボブで背が高く、いかにもモデルの雰囲気をまとった、綺麗ですらっとしている女の子がこちらに向かって歩いてきていた。


うわ、綺麗な人だな…。てかスタイル良すぎる…。さすがモデルだなぁ。



『うわー、ほんとだ!やっぱ実物の方がきれいだわ。』



いつの間にか楓が隣に来ていた。



『え、楓ちゃん、あの人知ってるの?』


『え、乃蒼、知らないの!?Yukiってあの有名雑誌の専属モデルでInstagramのフォロワー50万人超えのインフルエンサーだよ!』


『そーなんだ…。なんか住んでる世界がちがう人なんだね。』



キーンコーンカーンコーン…



『あ、予鈴なったから席着くか。』


『うん。』



みんなが席に戻っていく。


後ろからガタッ、と椅子を引いた音がした。


誰が座ったんだろ、振り向くと、さっきの女の子と目があった。ドキッとした。



『初めまして、杉本すぎもとゆきって言います。後ろ、よろしく。』


『鈴木乃蒼です。よ、よろしく。』



わあぁぁ!モデルの子に話しかけられちゃった…!


キーンコーンカーンコーン…


ガラガラッ



「はーい、席についてー!今から出席確認します。じゃあ…」



先生が来て名前を呼んでいく。



「次ー、これから入学式なので各自体育館に移動してくださーい。」



ザワザワ…ザワザワ…


楓のところに行こうと席を立つと杉本さんに話しかけかれた。



『鈴木さん、一緒に行ってもいい?』


『も、もちろん!』


『乃蒼ー、一緒に行こー!』



楓は杉本さんを見るなりさっきの調子で自己紹介して、いとも簡単に仲良くなっていた。



『あ、杉本さん、私たちもいい?』


『わたしも、わたしも!』



どんどん人が集まってくる。


やっぱ人気あるんだなぁ、すごい。

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