B.S.Sルーティング ~好きな人の好きな人が、明日も好きとは限らない~

尾岡れき@猫部

鹿島衣織の好きな人

諒也りょうやって本当にバカだと思わない、宗介そうすけ君?」

「……悪気はないんだろうけどね」

「宗介君が諒也だったら良かったのに」


 むすっと、私が頬を膨らませる。


「その場合は、僕が諒也で、諒也が僕だから、関係はあまり変わらなくない?」

「むー。実はこの宗介君は、諒也?」


「バーロ」

「諒也はどっかの小学生探偵みたいなこと、言わないって! ふふ、確かにハーレム気質はあるかもだけど」


 宗介君は、真面目な顔をして、そんなことを言う。

 あの超有名探偵漫画の場合、それでも一途に幼馴染みを想い続けていたけれど。諒也はどうなんだろう?


 諒也は、いつだって人気者だ。

 今日だって、生徒会本部――通称、女神の花園にお呼ばれされている。私がそんなに頭が良くないから、諒也に教えるのは無理だけれど。今頃、きっと鼻の下をのばしながら勉強しているんだろうなぁ、って思うと。妙にキモチがツンツンする。こんな私の愚痴に、いつも付き合ってくれる宗介君……本当に申し訳ないと思う。


「すごいじゃん、前に教えたところ、全問正解だ」

「……それは、宗介君の教え方が良いから」


 そういうところだ。本当に、宗介君は優しい。


「うん。それなら、嬉しい」


 にっこり笑う、宗介君に見惚れてしまう。


(いや、いやいやいや――)


 尻軽ビッチすぎない?

 私が好きなのは諒也で。優しくされたからって、気持ちはブレな――。




「ん?」


 にっこり笑う、宗介君から目が離せない私だった。



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