一縷の

@hoshiimo_2929

第1話

満たされ過ぎている。なんて言ったら怒られてしまうだろうか。最初にそれに気づいたのは中学生の頃だった。どうも自分は周りよりも優れているらしい。スポーツ万能、博学多才なんて聞こえは良いが、最初から何でもできてしまうというのは存外つまらないものだ。それでいてその道のプロには届かないのだからタチが悪い。いや、本気でやれば届くのかもしれないがどうにもやる気が出ない。最初からできてしまうせいで達成感というものを味わったことがないのだ。これではモチベーションも湧かないだろう。息子に対して「やればできる子なんです。」なんていう親がいるが、その「やれば」のハードルを知らないのだろう。案外、やれなかった自分の無念を無意識のうちに息子に託しているのかもしれない。何かに全力で打ち込める人間というのはそう多くないのだ。人間、どうしてもそこまでの熱意を抱くことは難しい。もっとも、これも自分を肯定する言い訳かもしれないが。

 自分で言うのもなんだが、友達は多い方だと思う。こんなネガティブ思考でも友達はできるのだ。明るくて、友達思いの「良いやつ」を演じるのはそう難しくない。少し疲れるものではあるが。これは社会人になった今でも変わらない。まあ、「都合のいいやつ」かもしれないが。正直、もう生きている意味がわからない。ただ死んでいないだけだ。死にたい、と思うことは多々あるが実際にはそう簡単に踏み切れないものだ。だって痛いじゃないか。もちろん、それ以外にも理由はあるのかもしれないが一番は痛みだろう。人間に痛覚を与えた神様には感謝しかない。生を強制するのも良い加減にして欲しいものだ。

 天国はあるのだろうか。あるのだとしたら飽きのないものであって欲しいものだ。現実にはどうしても限りがある。自分がその限りまで達しているとは思わないがどうしても見えてくるものだろう。その限りが見えてしまったらどうしてもやる気は失せてしまうものだ。空想の世界ぐらいはそんなものを見せないで欲しい。

 脈絡のない話を長々と綴ってしまいすまなかった。ここまで読んでくれた諸兄には感謝しかない。建前はさておき、私が伝えたいのは私のようにはなるな、と言うことだ。誰しもが確固たる自分を持っていて、それを元に活動してい気はしないだろう。そんなものはないかもしれないし、あったとしても見つけるのはそう簡単ではない。ただ、そんな私たちでも、欠片くらいなら見つけられるんじゃないんだろうか。自分の欠片。自分はどう言う性格なのか。何が好きなのか。じゃあ何がしたいのか。最初は何もわからないのかもしれない。そんな自分に絶望して枕を濡らす日もあるかもしれない。1年、10年、もしかしたら死ぬまで完全にはわからないかもしれない。でも、それでも、たった1ミリでも、掴むことができたら。少しは明るい未来なんてものが見えてくるのかもしれない。そんな欠片がきっとあるはずだ…いや、あるはずだと信じないとやっていけない。

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