第5話

「いいわ、おシゲさん。私が大学まで届けてくる」

父の勤め先は歩いて15分ほどの近くにある大学だ。どうせ今も、外の嵐にも気付かず、石を見詰めているのだろう。

「済みません、お嬢さま。それじゃお願いします」

父の傘を受け取り、私は玄関へ向かった。

ドアを開けると、雨まじりの風が私の顔面に襲いかかった。

「あッ」

思わず眼を閉じた。そして再び眼を開けた時、そこに…!

 

「悪魔」が…いたのだ。

 

歳は若いようだが髪が白く、白衣を着た男が…

傘も差さず、全身ずぶ濡れで…

縁石の上にうつむいて立っていた…

男は顔を上げ…

その鋭い眼が私の眼を捕らえ…

「一瀬教授の御宅は…こちらですか」と言った…

 

降りしきる青灰色の雨の中で…。

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