第26話
扉は、ちょうど人間が通れるくらいに開いていました。
(誰かが通った跡みたい。それとも私の閉め方が弱かったのかしら…?)
首を傾げながら、私は診察室に向かいました。
診察室にはまだ灯りが点いていました。
(先生、まだ仕事をしているのね…)
診察室のドアを開けようとして、ふと立ち止まりました。部屋の中から、誰かが会話している声が聞こえてきたからです。
(…誰か…いるの?)
私は音を立てないように、ドアを細く開けて室内を覗き込みました。
すると、診察台に2人の人影が見えました。
黒いシャツを半ば脱いで、こちらに背中を向けているのは…草馬先生。
そして、その草馬先生の剥き出しの左肩をつかんでいるのは…夢幻先生でした。
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