2 4月の出来事

第26話

4月の戦績は、13勝9敗の勝ち越し。


 そしてこの4月、2016年のカープの優勝への最初の原動力ともなった、いくつかの素晴らしい出来事がありました。



 まずは4月2日の読売ジャイアンツ戦にて、黒田博樹が日本球界復帰後初の完封勝利をおさめたこと。


 先発投手がたった一人で試合の最初から最後まで投げ抜くことを「完投」と言いますが、現在のプロ野球ではあまり見られなくなりました。

 先発投手は6回ぐらいまで投げて、その後を数人の中継ぎ投手が引き継ぎ、最後は抑え投手が締める、というのがメジャーリーグのスタイルであり、日本球界もその影響を受けています。


 しかし、渡米前の黒田のピッチングスタイルは「完投型」でした。

 狭い広島市民球場のマウンドに上がり、たった一人で戦い抜く。この試合の責任は全て俺が負う、それがポリシーでした。

 もちろん「郷に入れば郷に従え」の言葉のとおり、黒田もアメリカではメジャーの流儀にちゃんと合わせでいました。

 (実際には、メジャーのピッチャーは日本よりも過酷な環境の中で戦っているので、身体を酷使する「完投」は難しいのでしょう)


 その黒田が、久しぶりの広島(マツダスタジアム)で、強敵ジャイアンツの選手達に1点も与えずに、120球を投げ抜いたのです。

 野球選手としては高齢の41歳。

 その身体に鞭を打ち、強い責任感をみなぎらせて戦い抜くその背中から、若い後輩選手達はきっと大切な何かを感じ取ったのでしょう。



 この数日後(4月27日)、野村祐輔もまた完封勝利を挙げます。

 プロ5年目となる祐輔ですが、ここ2年間は思うような成績が上げられず苦しんでいました。毎年エース候補として名を挙げられながらも、周囲の期待に応えられないまま。

 その祐輔が、41歳の黒田の背中に導かれるようにして、この後、「マエケンの抜けた穴」をきっちりと埋める活躍をし、2016年のセ・リーグ最多勝投手となったのでした(*´ω`*)

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