第21話 インターネット娘

『webミーティングを開始します。』

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Internet-Musume 緊急Meeting

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会議室の大きなスクリーンには、各メンバーの部屋が映し出されていた。画面には、運営責任者の橘とシステム管理責任者の廻中(めぐりなか)が並んで座っている。その表情は、いつも通り事務的で淡々としているが、まりあは微かな緊張を感じ取っていた。


「先日のイベント、本当にお疲れ様でした」


まず口を開いたのは廻中だった。隣に座る橘が軽く頷き、続ける。


「想定以上のアクセスでサーバー負荷も相当なものでしたが、無事成功といえる内容でした。皆さんのパフォーマンスのおかげです。ありがとうございます」


いつも以上に丁寧な口調。そのせいか、逆にまりあは違和感を抱いた。


廻中が少し間を空けて再び話し始める。


「次に予定している新曲のリリースと、その関連イベントのことですが、皆さんに伝えなければならないことがあります」


メンバーの表情が一瞬引き締まる。まりあも思わず姿勢を正す。


「新曲のリリースを、延期することになりました」


その言葉に、メンバー間にわずかなざわめきが走った。


「延期? どうして?」


最初に問いかけたのは、楡木せいあだった。真面目で責任感の強い彼女らしく、言葉の響きに微かな焦りが感じられる。


それを橘が受け止めるように、隣の廻中が静かに説明を始めた。


「急な決定となり申し訳ありません。理由は、現時点でシステムの負荷が限界を迎えていることです。サーバーや管理システムが、すでに想定以上の負荷で動いているため、現在のまま新曲リリースを進めるとサービスそのものが維持できなくなる恐れがあるのです」


廻中の説明に、霧宮すばるが画面越しに眉をひそめる。


「それは、前から問題があったということですか?」


すばるの問いかけに橘が静かに頷いた。


「正直なところ、かなり前から限界だった。イベントやライブの度に対応はしてきたが、もうそれも限界が来ている。これ以上無理をすると、メンバーのみんなやファンに多大な迷惑がかかる」


その言葉に、まりあは静かに視線を落とす。他のメンバーも押し黙ったまま動きを止めていた。


七尾凛がふっと息を吐いて口を開く。


「つまり、しばらく活動を止めてメンテナンスをやるってこと?」


「……そういう可能性もある」


橘が目を瞑りながらこたえる。


南華ちいかが眉を寄せて問いかける。


「その『可能性』って、どれくらい?」


その問いに橘と廻中が一瞬視線を交わす。


「まだ正確には言えないけど、数週間の間はよく分からない。もしかすると、それもっと深刻になる可能性も否定はできない」


廻中の返答を聞いて、七尾凛がため息を吐いた。


「それってさ、要するに活動休止もありうるってことだよね?」


重苦しい沈黙が訪れる。否定できない状況に、運営の二人も何も言えないでいた。


まりあは言葉を探すように唇を動かし、ようやく問いを投げかける。


「どうにかならないんですか?」


橘は小さく首を振った。


「正直な話をすると、ギリギリまでは何とかなると思っていたんだ。だが、今回のイベント後にシステムが一部不安定になり、完全に安定する見込みがなくなってしまった」


まりあは画面の端に映るもこの姿を見つめた。彼女は会議が始まってから、一言も発していない。


「……もこ?」


まりあが、思わず声をかける。


もこは小さく顔を上げたが、無表情に近かった。


「ごめんなさい……」


もこが静かに言った。まりあは思わず問い返す。


「もこちゃんが謝ることじゃないよ。システムの問題なんだから」


まりあが優しく言ったが、もこはただ沈んだ瞳でゆっくりと首を振った。


「私が……もっと上手にやれていれば、こんなことにはならなかったかもしれないから……」


まりあが不安な表情でもこを見つめる。いつもの彼女らしくない発言だと思った。まりあが何かを言いかけたとき、橘がそれを遮った。


「もこ、君のせいではないよ。これは仕方のないことだ」


橘の言葉を受けてもこは小さく頷くが、その視線はどこか虚ろだった。


「とにかく、一度休息が必要だ。ファンへの説明についても、追って慎重に進めたい」


橘が話をまとめ始める。だがまりあは、この説明に何か根本的なことが抜け落ちていると感じていた。


なぜか胸騒ぎがする。


この問題は、本当にシステム的な不具合だけなのだろうか。もこの表情からは、何かもっと重大なものを感じた。いつも明るくファンやメンバーを励ましてくれる彼女の瞳に、今日は不自然なほどの虚ろさがある。


「分かりました」


沈黙の後、すばるが落ち着いた口調で言った。


「でも私たちは、どうすればいいのでしょうか。ファンの皆様にどう説明すればいいのか、それだけでも決めておかないと」


橘は困ったように廻中と目を合わせる。廻中が画面のメンバーたちに向かって静かに告げる。


「私たち運営でも、説明方法を検討中です。申し訳ありませんが、もう少しだけ時間をください」


まりあは不安な表情でそれを聞きながら、もこを見つめ続けていた。


もこはうつむいたまま、静かに目を伏せている。


まりあは強く感じていた──これは、ただのトラブルなんかじゃない、と。


「レッスンは続けられるんですか?」


まりあが、終わり際に意を決して質問する。


「……そこは、バックアップを使ってでもなんてもやれるようにしておく」


「ありがとうございます」


重苦しい空気の中、ミーティングは終了した。


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『ミーティングを終了します。』


──数日後

 


『VRレッスンを開始します。』

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スタジオに静かな空気が満ちていた。


レッスンルームの壁に広がる巨大なスクリーンに、「インターネット娘」のライブ映像が再生されている。その画面の前で、霧宮すばるが静かに目を閉じ、ゆっくりと息を吐いてから、いつもの穏やかな声を発した。


「じゃあ、そろそろ始めようか」


メンバー全員が円を作るように自然と集まり、すばるを中心として輪を描く。視線はスクリーンに映る過去の自分たちへと向けられている。


「今日は、細かい振り付けの精度を中心に確認します。基本は全員で、気づいたことは遠慮なく伝え合いましょう」


「いつもどおり、ね。」

 

すばるの落ち着いた説明に、メンバーたちは静かに頷く。すばるの言葉はいつだって、自然と全員の心に落ち着きをもたらしてくれる。


映像が切り替わり、最新の曲『Updating now!』のイントロが流れ始める。


──自分が知らない誰かも、自分を作っている。


スクリーンの中で踊る過去の自分を見つめながら、まりあの胸には、ふと先ほどのミーティングで交わしたもこの言葉がよぎっていた。インターネット上に存在する見知らぬ誰かにすら、彼女は支えられ、形作られている。そのことをまりあは最近、強く実感しつつあった。


音楽が進むにつれて、メンバーは静かに動きを合わせていく。すばるはセンターのまりあの斜め後ろに立ち、落ち着いた声でカウントを刻んでいく。


「ワン、ツー……ここのターン、タイミング揃えて。3、4でしっかり止める」


言葉に合わせてメンバーたちの動きが綺麗に揃い、全員の視線が揃った瞬間、小さな高揚が心地よく広がった。


「うん、今のとこ良かった。この調子でもう一回やろう」


すばるの声を合図に、再びイントロが始まる。


──完成されたアイドルじゃなくて、琴上もこになることが使命だった。


まりあは横に並んだもこの姿をふと見つめた。もこは淡々と動きを確認しながらも、その表情に真剣さが見える。最近の彼女は、少し以前とは違うように感じられた。


彼女自身の意思が、何かのきっかけで少しずつ強くなっているのだろうか。レッスンの合間の表情や何気ない仕草に、その変化は現れているような気がする。


スクリーンの中の自分を見ながら、まりあはふと感じる。──私も、もこも、そしてみんなも、きっと最初から完璧な存在なんかじゃなくて、時間を重ねて変わっていく。成長していくことこそが、アイドルとしての真のリアルなのではないか、と。


曲が盛り上がりを見せるサビの直前、全員がピタリと動きを止めた。


「ここの止め方はもう少しだけはっきりしよう。みあちゃんと凛ちゃん、腕をもう少し高く。もこちゃん、表情はもっと柔らかめに」


すばるがていねいに声を掛け、全員が頷く。


まりあはふと横目で、真剣な顔で自分の動きを微調整するもこを見つめる。


──私にとって、もこはどんな存在なんだろう。


ふいに浮かんだ問いは、いつしか自分の中に深く根を張り始めていた。


『インターネット娘』に飛び込んできたとき、彼女は一人としての「完璧なアイドル」に近い存在だった。けれど、今は違う。もこは、自分自身になろうとしている。


それならば、まりあ自身は──?


スクリーンの中の過去のまりあは完璧に振りをこなしている。しかし、それだけではどこか物足りなかった。まるで映像の中の自分が、作られた偶像のようにも見えてしまう。


リアルとは何か。


自分が本当に追い求める姿とは何か。


──自分の知らない誰かが自分を作るなら、私は自分をどこまで理解できているんだろう?


「まりあ、どうかした?」


すばるの柔らかな声にハッとする。


「あ、うん、ちょっと考え事してた、ごめん」


まりあが慌てて微笑むと、すばるは穏やかに微笑み返してきた。


「まぁ、この状況じゃ色々考えちゃうよね。でも、それって悪くないと思うよ」


優しく頷くすばるの言葉に、まりあは小さく息を吐き、頷いた。


「そう……だね」


「だからこそ、こうやってレッスンする時間も大切にしよ。私たちが私たちであるためにも」


すばるの言葉に、まりあの心がふわりと温かくなる。


「うん、そうだね。私もみんなと踊っている時間好きだから」


すばるは嬉しそうに頷いた。


「ええ、そうね」


ふと目線をスクリーンへ戻す。そこには、今とは違う少しだけ不完全な自分たちが映っている。だが、それが逆にリアルだった。


──「今」の私たちこそが、リアルなのだから。


もう一度すばるが振り返り、全員に呼びかける。


「じゃあ、もう一度最初から。みんな、いい?」


それに応えるメンバーの声が揃う。


再び音楽が流れ出す。


メンバーたちの動きが、徐々に一つの大きな波となって繋がっていくのを、まりあは感じていた。先ほどまでの重い空気が嘘のように晴れていく。


「みんな、いい感じ。そのまま気を抜かずに!」


すばるの明るい声が、リズムに乗って響いた。


曲のサビに入る。メンバーそれぞれのステップが揃い、腕が伸びる。呼吸すら一つになっていくのを感じるような瞬間だ。


「……いい感じ」


凛が小さく笑いながら呟いた。その声は弾んでいて、隣でステップを踏むせいあも頷く。


「さっきよりも明らかに動きが軽いですよね」


「だね。息が合ってきたよ〜」


なちがのんびりした口調ながらも、タイミングよく足を踏み出す。普段はのんびりとした彼女が、レッスン中にこうして機敏に動いている姿は、いつ見ても新鮮だ。


すばるが全体を見渡しながら、柔らかく微笑む。


「うん、いいね。この感覚、忘れないで。私たちがライブで届けたいのは、この一体感だから」


「そうですね」


みあが頷くと、まりあも続いて頷いた。


「何度やっても、やっぱり気持ちいいです。こうしてみんなで動きを合わせてるときって」


「うん、分かる。なんていうかさ、これが私たちだよね、って感じがするよね」


凛が笑顔で応じ、せいあも小さく微笑んだ。


「私、やっぱり皆さんとこうしてる瞬間が一番好きです」


柔らかい空気が満ちる中、もこがそっとまりあの方を見た。


「まりあさん、ここ、タイミングが少し早くない?」


その指摘に、まりあは一瞬戸惑いながらも素直に頷いた。


「……あ、本当だ。気をつけまーす」


もこが微笑み、安心したように小さく頷く。そのやり取りを見ていたすばるが、穏やかに声をかける。


「今のタイミング、もう一回確認しましょう。全員で」


「はい」


メンバーの声が揃い、再びサビ部分が流れる。スクリーンに映る映像と現在の動きを照らし合わせながら、微調整を繰り返す。何度も繰り返し練習した曲だが、その度に新たな発見があり、まりあはそのことを嬉しく感じていた。


──成長とはこういうことだろうか。


それは完璧に完成された自分を見せることではなく、こうして試行錯誤を繰り返しながら、自分を更新していくことなのかもしれない。まりあの胸に、その考えが深く染み込んでいく。


すばるが曲を一度止めて、深く頷いた。


「うん、さっきより全然良くなった。みんな、いい感じだよ」


「やった〜! 褒められた!」


なちが嬉しそうに笑い、それを見たせいあが優しく微笑んだ。


「すばるさんにそう言われると、少し自信がつきますね」


「ええ、ほんと」


ちいかが頷き、口元に微かな笑みを浮かべる。


──普段はどこかクールな彼女も、この空間では自然な柔らかさを見せている。それが、まりあには心地よかった。


再び音楽が流れ出す。曲はもう一度、最初から。


まりあは気持ちを整え直しながら、視界にメンバーたちを捉えた。


──私にとってアイドルは、こうしてみんなと一つになって、自分を表現することなんだ。


その考えに触れた瞬間、胸の奥から熱がこみ上げる。


誰かに見られること、それはただ表面的な視線に晒されることではない。自分を知ってくれる人に、自分という存在を確かに届けることなのだと気づく。


それは、たぶん——。


「……まりあ?」


いつの間にか隣に来ていたすばるが、小さく微笑みながら声をかける。


「あ、ごめん。また集中きれてた……」


慌てて謝ると、すばるは柔らかな笑顔を浮かべた。


「大丈夫だよ。まりあの考え事って、いつも何か大切なことだから。……私たち、そういうのも含めてチームだよ」


すばるの言葉に、まりあは微笑み返す。そうだ、自分が悩み、考える時間もまた、アイドルとしての大切な一部なのだと、改めて気付かされた。


スクリーンの中の過去の自分たちと、現在の自分たち。その狭間で揺れ動きながら、まりあは自分の立ち位置を改めて意識する。


──私は私たちは、これからどんな形であっても、ここにいることだけは、変わらないはずだから。


スクリーンの過去の姿が消え去っても、ここにいる仲間との時間は消えることがない。その想いを胸に、まりあは笑顔で前を向いた。


そして、その視界の端に、もこの微かな笑顔が見えた。


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「よし、じゃあ今日はここらへんにしよっか!」


「おつかれー」「お疲れ様ー」「うむ、帰還するぞ!」


次々とメンバーがログアウトしていく中、もこがまりあに寄って行った。

少し躊躇うように視線を落として、小さく口を開いた。


「ねぇ、まりあ……レッスン、楽しかった?」


まりあは軽く目を見開き、驚いたように視線を上げた後、穏やかに笑みを浮かべて頷いた。


「うん。なんだか今日は特別楽しかった。みんながいて、すごく温かくて」


もこは微笑み返したが、その目にはかすかな陰りが見え隠れしている。


「うん……楽しかった、すごく。でもさ、最近私、レッスンしてると、ふっと不安になるっていうか……」


まりあは静かに聞き役に徹し、もこが次の言葉を紡ぎ出すのを待った。もこはしばらく言葉を探すように視線を泳がせた後、小さく息を吐いて続けた。


「踊ってるときとか、歌ってるとき……私はちゃんと、ここにいるのかなって思っちゃうことがあるんだ。なんて言ったらいいのか分からないけど、自分がどんどん輪郭を失って、掴めなくなっていくような、そんな感覚」


まりあは真剣な眼差しをもこに向け、その言葉をひとつひとつ丁寧に受け止めるように頷いた。


「分かる気がする……私も、ステージに立つと、たまにそう思うの」


もこはまりあを見つめ直し、少し驚いたように目を見開いた。


「まりあも?」


まりあは柔らかく微笑んだまま、小さく肯定した。


「私ってね、きっと自分のことを全部自分で分かってないの。みんながいて、私を見てくれる人がいて、初めて自分がここにいるって思える。自分がどこから始まってどこで終わっているかも、実はよく分からない」


もこは目を伏せ、少し戸惑うような声で応じる。


「自分がどこから始まってるか……」


まりあはもこの言葉に柔らかく頷き、語りかけるように続けた。


「もこちゃんが『琴上もこ』になろうとしているみたいに、私はずっと、『愛坂まりあ』になろうとしていたんだと思う。でも、それが一人じゃできないんだって気付いた」


「……一人じゃ、できない?」


「うん。私は私だけじゃなくて、みんながいることで作られている。ファンの人たち、スタッフさん、それにあなたたち……そして、私が知らない誰かだって、きっと私を作ってくれているんだと思うの」


まりあの声は、穏やかながらもはっきりとした芯を帯びていた。


もこは少し戸惑ったように、小さく口を開く。


「私も……みんなの声が聞こえると、安心する。だけど、どこかでまだ、怖くて……それがなんなのか、上手く言えなくて」


まりあはもこの目を見つめ、優しく言った。


「分からなくてもいいと思う。私もまだ、答えはないんだ。けど、それを探し続けるのが、『私たち』なのかもしれない」


もこは静かにまりあを見つめ返した。


「まりあ……私、『完成』って何なのかずっと分からなくて。アイドルとして完璧になりたいって思ってた。でも、本当に欲しかったのは、それじゃない気がするの。みんなの中で、私がどう感じられてるのか……それを知りたい。みんなの中に『琴上もこ』は本当にいるのか、って」


もこの言葉に、まりあは柔らかく微笑んだ。


「きっと、もこはもう十分、みんなの中にいるよ。『完成』なんてないよ。私たちはずっと変わっていく。今の私たちがあるのは、昨日の私たちがいたからで、それは明日になればまた違う自分になる。それでいいんだよ、きっと」


もこの瞳が揺れる。微かな迷いと、それを乗り越えようとする決意のようなものが交錯していた。


「ずっと……変わっていく……」


まりあは静かに言葉を重ねる。


「うん。だから、もこも私も、今ここにいる私たちがすべてじゃなくて、これからもずっと変わり続けていくんだと思う。私たちが私たちでいられるのは、その過程を一緒に見てくれるみんながいるから」


もこは胸に手を当て、そっと呟いた。


「……まりあ、なんだか分かった気がする。私がここにいるのは、私がそうしたいからじゃなくて、みんなが私をここにいさせてくれるから……」


まりあは優しく頷いた。


「そうだね。そして私たちは、きっとそんな『誰か』のために、今ここにいるんだと思う」


もこは目を閉じ、まりあの言葉を胸に刻むように、小さく呟く。


「誰かのために……」


「そう。だから私たちは、最後までここにいる意味がある」


もこは深く頷き、ゆっくりと顔を上げる。その表情には先ほどまでの迷いは消え、静かな確信が宿りつつあった。


「……ありがとう、まりあ」


「こちらこそ。話せてよかった」


ふたりは穏やかに微笑み合いながら、レッスンルームを後にした。


仮想の光に満たされた空間は、静かにフェードアウトしていく。


だが、その温もりはしばらく、ふたりの胸の中に確かに残り続けていた。


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『VRレッスンを終了します。』

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