サービス終了
インターネット娘official
第1話 サービス終了
2025年1月某日──
そのニュースは、あまりにも突然だった。
「【重要】インターネット娘 サービス終了のお知らせ」
公式サイトに掲載された、一枚の告知画像。
そこには、いつもと変わらぬフォントで、静かに、しかし確かに「サービス終了」の文字が刻まれていた。
SNS、掲示板、動画コメント欄──あらゆる場所が、一瞬で炎上する。
「え、ちょっと待って、解散???」
「サ終!? ウソでしょ???」
「まじかよ!? 冗談だろ?」
「解散って書いてある……え、嘘だよな?」
「いやいや、待って待って、意味がわからない」
「公式発表ガチやん……無理」
「今知った、涙止まらん」
「解散ライブ、絶対行く……」
スマホの画面をスクロールする指が止まらない。
PCの前で呆然とする者、友達と通話しながら声を震わせる者。
ニュースサイトの速報欄には、「人気アイドルグループ『インターネット娘』、サービス終了を発表」の見出しが並ぶ。
動画配信サイトのチャット欄には、「え、なにこれ……」「まだ信じられない」といったコメントが流れ続け、最新動画には「解散なんて嘘だと言ってくれ」の書き込みが溢れた。
ある者は仕事帰りの電車の中でスマホを握りしめ、ある者は大学の講義を抜け出し、ある者はバイトの休憩中に、通知を開いて息を呑んだ。
長年追いかけてきたファンだけではない。
最近になって興味を持ち始めたばかりの者も、思い出を振り返る間もなく突然の幕引きを突きつけられていた。
「……これ、本当に現実?」
誰かがそう呟く。
頭では理解している。公式の発表なのだから、間違いようがない。
しかし、心が追いつかない。
何かのドッキリではないか? もしくは、新たなプロジェクトの前触れでは?
そんな希望的観測が、絶望に押し流される前に脳裏をよぎる。
それでも、公式サイトに記された情報は、残酷なまでにシンプルだった。
『インターネット娘は、2025年2月のラストライブをもってサービスを終了いたします』
その一文が、決定的な終焉を突きつける。
タイムラインに流れる悲痛な叫び。
動画サイトのコメント欄に溢れる「ありがとう」「信じられない」「ずっと好きだった」の文字。
公式ポストのリプ欄には、「何があったの?」「解散しないで」「最後まで応援する」という言葉が入り乱れていた。
ファンの間には、いくつもの感情が渦巻いていた。
驚き、困惑、悲しみ。
ある者は、涙を流しながらスマホの画面を見つめ、ある者は、納得できないと拳を握りしめる。
「いや……まだ詳細が出てない。何か、理由があるはずだ」
発表されたのは、ただ解散の事実だけだった。
なぜこのタイミングなのか。
運営からの説明はなく、メンバーのコメントも、まだない。
不意に、フォロワーが誰かのポストをリポストした通知が届く。
そこに書かれていたのは、たった一言。
「解散する理由なんて、どうでもいい」
画面を見つめる指が、止まる。
何があったのか知りたい。納得のいく説明が欲しい。
しかし、それよりも先に、現実として突きつけられた事実がある。
『インターネット娘はサービスを終了いたします。』
スクリーンに映る、変わらぬ公式サイトの告知。
そのフォントは、まるで無機質なシステムメッセージのように、決定的な終焉を告げていた。
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