第9話

「繭、脱げ!」

「えっ、ええええっ?」

肉食獣が獲物に襲いかかるみたいに、阿鬼ちゃんは繭ちゃんに飛びつこうとした。が、その寸前、2人の間に男が割り込んだ。

「繭ちゃんに手を出すなぁっ!」

「…ッ、藤島!邪魔すんじゃないわよッ!」

繭ちゃんを背後にかばい、キッとした眼差しで阿鬼ちゃんを睨みつけるみっちゃん。

「だいたい、冗談じゃないですよ。帰ってくるや否や『脱げ』だなんて、変態丸出しじゃないですかっ!」

「藤島!このアタシを変態呼ばわりするたぁイイ度胸してんじゃないの!」

「いや~阿鬼ちゃんは充分変態や思うで~」

「自覚ねェのかって感じだな、うん」

外野でぼそぼそ呟く鬱摘&れんげ。

「うるッさーい!時間がナイのよ!とっとと繭を寄越しなさいッつーの!」

「…時間…って?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る