青い薔薇の海に

銀の小舟を浮かべ

真珠色の海老を

餌につけて

釣り糸を垂らしました


その肝を食えば

嘘が本当になるという

幻の巨魚を釣るために


灰色の空には

月も星もなく

薄い闇が

霧のように漂っています


海は

樹脂のように凍り付き

光を拒否して

沈黙の中に

横たわっています


耳に詰まる静寂が

時々冷たく

ここは地獄だと

ささやく


わたしは

釣り糸の先を

見つめながら

終わることのない

夢の中に

永遠に挟まれていくのです



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