日記
柵木悠夏
2025.3.4 将来へのぼんやりとした不安
1927年7月24日、芥川龍之介は睡眠薬を大量に服薬し自殺した。自殺の動機として彼は
「将来へのぼんやりとした不安」
と書き残している。
彼の「ぼんやりとした不安」が彼自身の将来に対するものだったのかそれとも目まぐるしく変わっていく世間に対するものだったのか真実はわからないが、「将来へのぼんやりとした不安」は的中する。
彼が亡くなった4年後柳条湖事変が勃発、その翌年には満州国建国宣言から515事件が発生。その後226事件や天皇機関説が批判など様々なことが起こり、彼が亡くなってから10年後の7月、日中戦争が始まる。
最近のニュースをみて、私もぼんやりと不安を感じる。
ウクライナとロシアの戦争、そこに入っていく(表現が正しいかわかりませんが)アメリカ。中国の軍事演習や北朝鮮や韓国のこと。なんだか不気味なことがたくさん起こっている。
でも、毎日毎日報道されても、どこか遠くの話のように感じて、ぼんやりとしたものでしかない。
私は今夜もメガネをとって部屋を照らしていた電気を消す。ぼやけた視界の中でぼんやりとした不安を抱いたまま眠りにつく。起きたらきっといつもと変わらない日常があると信じてやまないからだ。
1900年代前半の激動の時代を生きた人もきっと私と同じように、明日も今日と同じように何もない日常になると思って、信じて眠りについていたのではないか。次の日が平和に来ないなんて、起きたら首相が殺されていたなんて、朝が来る前に火の海のなかにいるなんて私は考えたくもない。
自分の視野を明瞭にするためには、自分でメガネをかけるしかない。電気をつけて動かしたかない。
今はまだ遅くないはずだ。
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