第16話 狂戦士の復活②

 

 スタートボタンを押すと、ゲームが始まった。グラフィックは抜群に良くて……、まるで本物の世界で戦っているような臨場感があった。


 バトロワの経験はほとんどないが……、このゲームはチームプレイが重要で、最後まで生き残ったパーティーが勝つような仕組みになっている。ある程度の戦術や戦略が求められてくる。


(さて、どうしたものか……)


 俺はとにかく手探りで始めた。すると、すぐにチームの二人がやられてしまったようであっという間に人数不利の状況になってしまう。


 このゲームは間違いなくソロになれば不利だ。とにかく、生き残って順位をあげるのがバトロワは重要ではあるのだが……。


「そんなの俺の戦い方じゃないよな」


 ファイトが大好きな俺はやはり敵を蹂躙して周りたい。逃げていてもどうにもならないし、一人だし誰にも迷惑がかからない。なら、好きなようにやればいい。


 俺はスプリントのボタンを長押しし、縦横無尽にマップを徘徊する。敵と遭遇すれば相手にAIMを合わせて反撃を喰らわせる。


 拾ったのは単発の拳銃――、リボルバーと呼ばれる武器だ。命中すると一発のダメージが大きく、ダメージレースで大きく勝つことができるロマン砲である。


 このゲームは今までプレイしてきたどのタイトルよりも、体力ゲージが多く、回復が早いのが特徴だった。そこがこのゲームの奥深さとも言える。


「よし、この武器は結構使えるな」


 俺は拾ったリボルバーの弾を遮蔽物を使いながらリロードする。回復するのが早いとは当然時間はかかる。一発のダメージが大きいこの武器だと回復仕切る間に倒せてしまう。


 チュートリアルでは玄人武器と紹介されており、初心者はサブマシンガンを使うのが推奨されていたが、俺はそんな忠告をガン無視して、リボルバーをメイン武器として拾うようにしていた。


(この武器、最高だな)


 俺はそう確信した。そして、その予感は的中した。敵を見つけては撃ち、反撃されるまもなく敵を蹂躙する。下手すると元々やっていたゲームよりも戦闘回数が多すぎて、敵を倒すのが爽快でしょうがない。


 気が付けば残り三部隊。俺は既に二桁のキルを取っており、ほぼヘッドショットでキルしている。これは極める価値がある。


 とにかく、銃の挙動が良い。撃ってる感覚が爽快でたまらない。


「これは……、面白いな」

 

 狙うのは頭だけというのは昔から変わらない。体が変わったとしても、感覚に変化はなかった。むしろ、体が若返ったことで以前よりも早く、正確にカーソルを動かすことができる。


 気づけば、マップの端々から中心まで駆け巡り敵を薙ぎ倒す。この疾走感がこのゲームの売りだと思った。


 マップの中央に集まる敵に照準を合わせて敵を屠る。どうやら、最後の一部隊を壊滅したようで『We defeated』という表記が画面に現れる。


「あー……、楽しかった」


 俺は椅子にもたれかかり天井を見上げる。


「これは……、ヤバいな」


 数戦プレイしてだいたい慣れたので、俺はランクマッチに潜ることにした。


 ランクマッチというのは、同じ階級同士で争うシステムのゲームだ。「ルーキー」から「マスター」までの六段階、さらにそれぞれのランクには階級が設けられている。階層は四段階ある。


 例えば、「ルーキー1」で獲得ポイントが昇格ラインを越えれば、次は「ブロンズ4」からスタートする。これを繰り返して上位のランクに上がっていく。


 ちなみに、「ダイアモンド1」から「マスター」に昇格すると階層システムが消え、取得ポイントで順位が付けられる。ランクポイント上位300名だけが「マスター」のランクを維持することができるというかなりシビアな仕様になっている。


「マスターランクに入ればこのゲームでの実力を証明できるってわけだ」


 昇格のためのポイントは「キル数」、それに「順位ポイント」が重要になってくる。いかに、敵を倒して生き残るかが鍵になってくる。上のレート帯とマッチすると戦術とかも加わってくるだろう。


 昔やっていたゲームにもこういうレートシステムがあったので似たようなものだ。


「要するにやり込みまくってポイントをあげればいいんだよ」

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