第3話、心のメロディ
恋の音、心のメロディ
「ねえ、あおい。恋ってさ、どんな音だと思う?」佐伯友梨が、ふわりとした笑顔で私に問いかけた。私たちは放課後のカフェで、甘い香りのするコーヒーを片手に、楽しいおしゃべりを楽しんでいた。友梨の質問に、私は一瞬考え込む。恋の音?それは、どんな響きだろう。
「うーん、私は…恋の音って、やっぱり心臓の鼓動かな。ドキドキして、まるで音楽が鳴り響いているみたい。」私はそう答えた。友梨は興味津々で、目を輝かせて聞いている。
「心臓の鼓動かぁ。確かに、好きな人の前では心臓がバクバクしちゃうもんね!」友梨は笑いながら、手で胸を叩いて見せる。その姿が可愛くて、思わず私も笑ってしまった。
「でもさ、その音だけじゃないよね。あたし、恋にはもっといろんな音があると思う。」友梨が言うと、私は首をかしげた。「どういうこと?」
「例えば、彼と一緒にいるときの笑い声とか、ドキドキする瞬間の静けさとか。そういうのが、全部恋の音なんじゃないかな。」友梨の言葉に、私は頷いた。彼女の表現が、まるで恋のメロディのように心に響く。
「じゃあ、私たちの恋の音を作ってみない?」私は思わず提案してみた。友梨は目を輝かせて、「いいね!じゃあ、まずは心臓の鼓動から始めよう!」と乗り気になった。
「バクン、バクン…」私は心臓の音を真似する。友梨も負けじと、自分の胸を叩きながら「バクン、バクン!」と声を合わせる。その瞬間、周りの人たちがこっちを見て驚いた顔をしているのに気づき、私たちは笑い転げた。
「これが恋の音の一部なんだよ、きっと。」友梨が言うと、私は頷きながら、彼女の言葉に耳を傾けた。「それから、彼の声も大事だよね。優しい声で名前を呼ばれると、心が温かくなる感じ。」
「そうそう!それに、彼と一緒にいるときの静かな時間も、特別な音だよね。」友梨の言葉に、私の心がふわりと温かくなる。恋の瞬間には、言葉にできない音がたくさん隠れているのだ。
さらに話が進むにつれ、私たちは恋の音を具体的に思い描くことになった。友梨は、「例えば、彼と一緒にいるときの風の音とか、夕焼けの中での静かな囁きとかも、恋の音だよね。」と続けた。
「それ、すごく分かる!特に夕焼けのとき、空がオレンジ色に染まる瞬間、その静けさが心に響く感じがする。」私は思わず目を閉じ、想像の中でその瞬間を味わった。友梨も同じように目を閉じて、まるでその音を感じ取るかのようだった。
「ねえ、あおい。恋って、音だけじゃなくて、匂いとかも関係してると思わない?」友梨がふと提案する。私は驚きながらも、彼女の言葉に頷いた。「確かに!彼の香水の匂いとか、好きな場所の香りが、恋の思い出になってる。」
「そうそう!それに、彼と一緒に食べたアイスクリームの甘い香りとかも、恋の音の一部かもしれないね。」友梨の言葉を聞いて、私の中にいくつもの思い出が蘇る。彼と一緒に食べたアイスクリームの味や、その時の会話の音が、まるで心の中でメロディを奏でているようだった。
「恋は、音楽みたいだね。」私は言った。「いろんな音が重なり合って、ひとつの素敵なメロディを作る。」友梨は嬉しそうに頷き、「そうだね!私たちも、自分たちの恋の音を作っていこう!」と笑顔で答えた。
私たちの会話が進むにつれ、恋の音がどんどん鮮明になっていく。友梨は、「彼との初めてのデートのときの緊張した音とか、手を繋いだときの静かな瞬間とか、全部が特別な音だよね。」と言った。
「その音があるからこそ、私たちは恋を感じることができるんだよね。」私は友梨の言葉に心から共感した。恋は、目に見えないけれど、確かに存在する音のようなもの。心の中で響くメロディは、時間と共に変わり、でもいつまでも忘れられない。
「ねえ、あおい。私たちも、自分たちの恋の音を大切にしていこうね。」友梨が真剣な目で私を見つめる。その言葉に、私は心が熱くなる。「うん、絶対に!」と力強く答えた。
カフェの窓の外では、夕暮れの光が差し込み、私たちの心の中に新たな音が響き渡る。恋の音は、日々の中で少しずつ増えていく。友梨との会話を通じて、私は恋の音の美しさを再確認した。
これからも、恋の音を大切にしながら、友梨と一緒に素敵な瞬間を重ねていこう。恋は、音楽のように、心の中で響き続けるもの。私たちの恋のメロディは、まだまだ始まったばかり。どんな音が待っているのか、楽しみで仕方がない。
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