第10話 水竜

夜の寒い時間


月城優璃(上坂元優碧)は、ダンジョンの入り口に立ちながら、深呼吸をした。


「さて、今日は港区ダンジョンに挑戦してみようか。でも、前回のあの異常事態が懐かしいな…」


優璃は少し前に、港区ダンジョンでの出来事を思い返す。ポセイドンがボスとして君臨していたころ、このダンジョンは常に異常事態が発生し、極めて危険な場所だった。ポセイドンがその力を振るってダンジョン内に巨大な津波を引き起こしたり、恐ろしい水の怪物を生み出していた。それに加えて、他のモンスターも一時的に異常な強さを持っていたため、通常の探索者には到底立ち向かうことができないレベルだった。


しかし、ポセイドンが倒されたことによって、その力はダンジョンから抜け、港区ダンジョンは驚くほどの静けさを取り戻していた。今では、ボスのポセイドンの力が影響を与えていた場所も普通のモンスターたちのテリトリーに戻り、以前のような異常事態はなくなった。


月城優璃(上坂元優碧):「ポセイドンが居なくなっておかげで、難易度がかなり下がったって聞いてるし…でも、ちょっと…物足りなくない?」


優璃は少し考え込む。ポセイドンの力が抜けたことで、確かにダンジョン内は静かになった。しかし、その安定感にはどこか退屈さを感じていた。危険で予測不可能な状況を楽しむ自分が少し恋しいような、そんな気持ちが湧いてきた。


「まぁ、今日は素材集めに集中して、サクッとダンジョンを攻略できそうだけど…」彼女はため息をつき、ダンジョンの入り口に踏み込む。


ダンジョンの入り口にて


優璃がダンジョンの入り口に足を踏み入れると、前回のように津波のような水流が迫ってくることはなく、穏やかな風が吹いていた。ダンジョン内に足を踏み入れた瞬間、もう何も異常は起きないことを確認した優璃は、少し肩の力を抜いた。


「今は、普通のモンスターたちがいるだけ…でも、もしかしたら…」優璃は心の中で、少し悪戯心を抱いた。ポセイドンがいなくなったからこそ、彼女がダンジョンを好きなように支配できるという自由を感じていたのだ。


視聴者が続々と配信にコメントを送る。


「ポセイドンが居なくなってから、ダンジョンが本当に落ち着いたみたいですね。」 「でも、絶級ダンジョンだから、油断はできないよ!」 「素材集めにピッタリなダンジョンだね! 今日は何を作るんだろう?」


優璃はそのコメントを見ながら、心の中で少し笑みを浮かべた。「そうね、みんなが言う通り…でも、今はちょっと別の楽しみも感じたい気分。」


月城優璃(上坂元優碧):「今日は素材集めがメインだから、あまり危険なことはしないけど、さすがに絶級ダンジョンはちょっと怖いかな。でも…ボスを、どうしても倒してみたくなってきた。」


ダンジョン内


ダンジョンの中に進むと、広い空間にひっそりとたたずむモンスターたちが見える。それらは、ポセイドンの力によって異常な強さを持っていたわけではなく、普通の強さを持つ敵たち。優璃は気を引き締めつつも、内心では少しドキドキしていた。


「ふふ、これなら、どんどん素材集めができそうだね。」彼女は少しだけ戦いの興奮を感じている自分に気づく。


数体の「石壁ゴーレム」や「火を吹くサラマンダー」が現れるが、優璃は冷静に、それでもどこか挑発的にその攻撃を避ける。ポセイドンの力を使って水流でその攻撃を流し、相手が攻撃する度にちょっとした意地悪さを感じる。


月城優璃(上坂元優碧):「水の力でサラマンダーの炎も消せちゃう! ふふ、これなら、あとは私が勝つだけだね。」


その後もモンスターを次々に倒しながら、優璃は自分の力に陶酔していた。通常なら感じることのないような、少しだけ挑発的な満足感が彼女の中で膨らんでいく。


新たなボスとの遭遇


ダンジョンの奥深くに進んだ優璃は、目の前に巨大な岩の扉が現れる。そして、その扉がゆっくりと開くと、中から現れたのは「水竜ゴリアス」。ポセイドンがいなくなった後のダンジョンで現れるには、やや大きすぎるその姿に、優璃は一瞬胸が高鳴った。


月城優璃(上坂元優碧):「あれ…ポセイドンがいなくなったとはいえ、この水竜ゴリアス、少し強そうだな。でも、私の力で倒せるって分かってる。」


優璃はわざとゆっくりと、ボスの攻撃を避けながら近づき、その視線をじっとゴリアスに向ける。「うん、今日はちょっと遊んでみるのも悪くないかも…」彼女は心の中で不敵に笑った。


水竜ゴリアスの攻撃を華麗に避けながら、ポセイドンの力を集め、最強の水の竜巻を放つ。


月城優璃(上坂元優碧):「さぁ、来なさい。あなたの強さは…私の勝利のスパイスよ。」


一撃でゴリアスを倒し、彼女は快感に酔いしれるように、その素材を手に取った。


月城優璃(上坂元優碧):「やっぱり、ポセイドンの力って、あまりにも私にぴったり…こんな風に、完全に支配できるなんて、なんだかゾクゾクする。」


料理の準備


「よし、これで素材集めも大成功! さぁ、料理を作ってみよう。」


優璃は「水竜の鱗」と「水の結晶」を使い、思わず口元を上気させながら料理を準備し始めた。


月城優璃(上坂元優碧):「今日は『水竜の鱗のグリル焼き』と『水の結晶スープ』。これがどんなに美味しいか、皆にも感じて欲しいわ。」


視聴者たちは盛り上がる。


「水竜の鱗を焼くって、どういう料理だよ!?」 「水の結晶スープ、絶対美味しいだろうな!」


優璃は不敵に笑いながら、少しだけ料理に対しても挑発的な思いを込める。「この料理も、ちょっとした秘密を隠し持っているんだ。」


月城優璃(上坂元優碧):「うん、これ…絶対に美味しい! 料理のスキルも、もうポセイドン級に上達したかもね。」


その後、優璃は配信を終わらせながら、心の中で新たな欲望に目覚めつつあることを感じていた。


月城優璃(上坂元優碧):「次回の冒険も楽しみにしててね。さて、次はどうしようか…」

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