空花文庫 2nd Note
空花凪紗~永劫涅槃=虚空の先へ~
第1話 僕が知ったこの世の真実
これは僕が魂の病を患って入院していた2221年の2月のこと。病院での生活はとても退屈で、暇な時間を持て余した僕は様々な人と会話するのが唯一の楽しみだった。僕がよく話をした人の中に大野さんというおじさんがいる。僕は彼にこんなことを訊かれた。
「君はシリウスのスターシードだよね?」
スターシード。僕はその時初めて知った言葉だったが、大野さん曰く、スターシードとは過去世に別の星にいた魂のことを言うらしい。21世紀後半から始まった魂魄学による研究によって、魂は確かにあり、前世や来世、輪廻転生もあることは分かっている。だが、未だ前世がどうだったかとか、来世はいつの時代に生まれるかなどのことは分かっていない。スターシードとはなんとも胡散臭い話だが僕は暇つぶし感覚に大野さんの話を聞くことにした。
「シリウスのスターシードですか」
「ああ。月を見て懐かしく思うことはない?」
「ええ、ありますよ。郷愁に似た感情を抱きますね」
「でしょ?月はね、実はシリウスなんだよ」
大野さんは本気で月がシリウスだと思っているように見えた。だが、もし仮に僕がシリウスのスターシードであり、月がシリウスだとしたら、夜空に浮かぶ月を見たときに感じるなんとも言えない感慨の説明にはなる。僕は大野さんの話をとても興味深く感じた。幸い僕らにはたくさん時間があったので、病院の廊下を歩きながら二人で問答を繰り返す。
大野さんが言うには今は光と闇の最終戦争の真っ只中なのだという。世界は至って平和で、戦争はもちろん、紛争さえ起きていないのにも関わらずだ。神とルシファーとの戦いは今でも続いているという。
「この世界はね、ルシファーが神になるために創った仮想現実世界なんだ」
彼はそんなことを語った。真実は誰も知らない。
明かり
未来のことはわからない。明日のことはわからない。命の花の葉の花の。もだと調べておくれなせ。たからば菜の花の花博。白々しいと言われるが、なおのことならさることも。今は今際のときなれど、アカシアが来て下さいね
望まぬろう牢を今去るとき
人は生まれながらに罪を背負っている
光と闇の戦いなんてなかった
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