Celeste blue~地上に眠る蒼穹~
西崎 仁
第1部 スラム編
プロローグ
激しい戦乱のさなか、その人物は、突如目の前に現れた。
見事な黄金の髪。冷たく冴えわたった
ひと目で〈それ〉とわかった。
彼こそが
なんという存在感。なんという、耀き――
目を、逸らすことなどできなかった。そうするにはあまりにもその光は
こんな人間が、本当に存在するのだ。
強烈なその印象に、ただただ圧倒され、魅せられ、心を奪われた。
敵対するふたつの勢力が激しくぶつかり合い、凄まじい死闘を繰り広げる中、彼を取り巻く空間だけが、侵すことのできない光と静寂を
地上で出逢ったのは、圧倒的なまでに目映い光輝を放つ、
『生命の力が持ち合わせる神秘と奇蹟の可能性を、とことんまで追究してみたい。俺ね、だから研究者の道を選んだんだ』
空に魅せられ、地上を目指した幼馴染みの言葉が不意に脳裡に甦る。
空が見てみたい。いま、
その、真の姿を目の当たりにしたとき、人は必ずそこに、無限の神秘と奇蹟を見るだろう――
『この
――ケイン……。
かつて人類は、環境破壊が進み、汚染しつくされた地上をみずからの意思で捨て去った。
かわりに築き上げたのは、都市機能の大半をコンピュータによって徹底管理した巨大な地下帝国――《メガロポリス》。
地下空間内の空気は、エアコンディショナーの稼働により絶えず新鮮なものと入れ換えられ、気温、湿度はともに、設定された一定の数値を自動的に保っている。地球の自転に合わせて光の量を調節することで、人工の昼と夜までが交互に造り出された。
より豊かに、快適に暮らせるよう管理され、護られた社会。そして生活空間。
地上を捨てたことで、人類は安住の地を約束された。
清浄にして利便性に富んだ第二の《故郷》で、人々はもはや、人体に悪影響を及ぼす汚染物質や自然の驚異に脅かされることなく、安全な生活を謳歌することが可能になった。
みずからの手で、高度に発展した理想郷を築き上げた人類は、欲したすべてを摑み取ることのできる世界をも創り上げることに成功したといえる。
ただひとつ、〈
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