追放された村人A、実は神を滅ぼす存在でした

蒼獅

第1話:神々の裁きが下る時

俺は、どこにでもいる普通の村人——のはずだった。


平凡な村で畑を耕し、のどかな日々を送る。それが俺の人生で、特に変わったことなど何もない。


……そう、"あの日"までは。


天が裂ける

突如、空が引き裂かれた。

雷鳴のような轟音が村中に響き渡り、渦巻く雲が黄金色に染まっていく。


「な、なんだ!?」「神の怒りか……!?」


村人たちがざわめく中、世界が眩い光に包まれた。まるで、この村ごと異空間に飲み込まれてしまったかのように——。


その瞬間、天から響く威圧的な声が世界を貫いた。


「お前は、生かしておけない」


雷のように響く宣告。村人たちは青ざめ、恐怖に震えながら俺を見つめる。


「……え?」


冷たい視線が俺に突き刺さる。


「お、お前……まさか神の怒りを買ったのか……?」


「待て、何の話だ!? 俺はただの村人Aだ!」


必死に否定するが、誰も信じようとはしなかった。


神の使徒、降臨

空が割れ、黄金の光が降り注ぐ。その中心から現れたのは——


巨大な六枚の翼を持つ戦士。


「天使……?」


いや、違う。


その瞳には慈悲も救いもなかった。ただ冷酷な裁きを執行する、神々の使徒。


「神託は絶対。汝の存在は、この世界にあってはならぬ」


剣が抜かれる。冷たい閃光が俺に向かって振り下ろされた。


——死ぬ。


そう思った瞬間、俺の体が勝手に動いた。


剣を避ける。気づけば、俺の手が天使の腕を掴んでいた。


そして——


「──消えろ」


俺が無意識に放った言葉とともに、天使の身体が霧散した。


村が静寂に包まれる。


「……は?」


何が起きたのか、自分でも理解できない。


神の使徒が、たった一言で消え去ったのだ。


封印が解かれた時

再び、天上から響く声。


「封印が……解かれた……!」


空に浮かぶ無数の光が、一斉に俺へと降り注ぐ。


圧倒的な破壊の力。


——けれど、不思議と恐怖はなかった。


むしろ、体の奥底から込み上げる衝動。


「……そうか」


俺は思い出した。


俺は、神々によって封じられた禁忌の存在。


そして今、その封印が解かれた。


「お前たちこそ……生かしておけない」


──神々との戦いが、今始まる。

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