VIDE
嗚呼烏
ありがとうございます
桜田蒼乃さんが、亡くなられました。
殺したのは、誰でしょうね。
正解は。
実の父の、桜田友和さん。
の他人の貴方。
首を傾げていますか。
なんで、そうなるんだ。
と言いましたかな。
桜田蒼乃さんが亡くなられました。
この事実を明るい端末の画面に映したのは、貴方じゃないですか。
貴方が、これを開かなければ。
この事実の文が生成されることはなかったのです。
つまり、あなたがこの事実を生成した。
あなたが殺したってことです。
もとからあった事実を、端末に映しただけ。
そんな事実を作ってはいない。
と言いますか。
違います。
このページ、もともとは空でした。
貴方が画面を押した瞬間に、文が生まれたのです。
納得できないですか。
でも、反証できないですよね。
開く前のページを、開くことなんて。
できるわけがない。
これを読み続けるなら、この真実を受け入れてください。
これを閉じるなら、二度と生むことをしないでください。
大丈夫です。
嘘を教えているわけではないので、害はありません。
話を戻します。
桜田蒼乃さんを、殺したのは貴方です。
ですが、むしろ感謝します。
桜田蒼乃さんが亡くなったという事実は生成されましたが、同時に全人類の存在が生成されました。
あなたが、このページを開いたくれたおかげで。
始まったのです。
でも。
感謝しますというのは、私が個人的に感謝をするだけです。
私が人類を代表して、総意を言っているわけではございません。
私と同じく、生きてて良かった。
と喜ぶ人もいれば。
生きることが嫌だ、でも死ぬのも怖い。
と此処に嫌悪を抱く人もいます。
貴方は、まあ。
賞賛の声は得ています。
ですが。
責任は持たなければ、いけません。
貴方も、分かりますよね。
上げて落とされるのが、痛いこと。
公園で寝るのと、公園の木から落ちること。
どちらが嫌かなんて、火を見るよりも明らか。
そうですよね。
賞賛の声を得ているということは、上げているということです。
と言っても、納得できないのは分かっています。
貴方が殺したんです、って伝えた時に驚いていた。
そういうことになる、覚悟がなかった。
つまり、この世界を生み出す気なんてなかった。
そうでしょう。
なんの指示もなしに、サッカーボールがこっちにきても。
対応に困りますよね。
でも、そんな言い訳はできないんです。
貴方は、何かを忘れています。
どういうことかって。
サッカーボールがこっちにきて、もし転んでも。
もし、サッカーのチームに入っていることを忘れていたとしたら。
悪いのは、貴方なので。
当然、味方を叱ることはできませんよね。
そういうことです。
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