第20話

僕は里子ちゃんのことを全く知らない。

いや、知らなくていい。里子ちゃんが話してくれるその時まで待てる自信があったからだ。

今日が最後じゃない。またこうやって会える時だってあるはずだ。

僕の憶測でしかないけどそんな気がした。


「あの…私の顔に何かついてます…?」


まじまじと見ていた僕に里子ちゃんは恥ずかしそうに言った。


「あ。ごめん邪魔しちゃったね。かわいいなって思って」


そう言うとそんなことないですと本で顔を隠す里子ちゃん。

少し顔が赤くなっている。


これじゃ空野みたいじゃないかと自分にツッコミを入れる。


「変な意味で言った訳じゃないから安心して。ただの独り言だと思ってくれたらいいから」


僕がそう言うと里子ちゃんは小さな声ではいとだけ言った。


「あ。あとこれ読み終わったけど里子ちゃんが言っていた通り面白かったよ。

これシリーズものなんだね続き探してくるね」

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