僕の愛した人は過去の人でした【完】

黎凪

第1話

―7月―


『カタカタカタカタ』


PCのタイピング音が響き渡る。

時折電話の鳴る音、コピー機が動く音、仕事の会話が飛び交う。


「七森~これ今日の会議に必要なんだっけ?」


同僚の 空野結城 が僕 七森誠 に話しかける。


「それは明日。今日のはこっち」


僕は分厚い資料を空野に渡す。空野はうげーとした表情になりながらも僕からの資料を受け取る。


「ねね雪ちゃんこれコピー頼める?」


空野の二つ下の 要雪 に擦り付けようとする。


「空野さんそれくらい自分でやってください。私だって忙しいんですから」


そう言うと要は僕に手を振ってその場を後にした。


「おうちゃくこかないで自分の仕事ぐらい自分でやれよ」

「へいへい」


僕に言われしぶしぶ席を立って空野はコピー機の所に行った。

今日は午後から会議があるからいつも以上に午前中はみんなバタバタしている。

季節的に新入社員ももう新入とは言えない時期だ。

だが使えないやつは使えない。

僕はその使えない社員の仕事を片付けていく。

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