第3話 幼女と家のレベルアップ
アルフィナによって部屋から連れ出されて幼女の紹介を受ける。
「妾は、リリス!!宜しく頼むのじゃ!!」
いや、説明不足だよね?名前しか分からないよ?もう既に此処に住む事が、決定事項みたいに言っている。何も聞いてないよ?勿論この後説明があるんだよね?
・・・無さそうだ。既にリリスは、ソファーで寛いでいる。
「家守悠太です。リリスさん宜しくお願いします」
「うむ!!お主は、特別にリリスと呼ぶ事を許してやるのじゃ!!」
「そうか。それじゃあリリス。リリスも此処に住むって事でいいのか?」
「うむ!そうじゃ!アルフィナの奴がどうしてもと言うからのう。世話になるんじゃ、何か有れば力を貸してやるのじゃ!」
アルフィナの方を見ると彼女も頷いている。
「リリスは、竜王だよ。僕以上の魔力を持っているからね。これから何かと彼女の力が必要になる時が来るさ。それに彼女は、異世界の食べ物に興味津々みたいだからね。異世界の食べ物を渡す代わりに力を貸して貰うんだ」
これは・・・。アルフィナの研究の為に連れて来たな!!最近のアルフィナは、家にある家電を熱心に調べている。同じ様な物を作るには、魔力が足りないと言っていたからそれを補うつもりだ。
本当に自分の欲求に忠実だな。いつかトラブルを巻き起こしそうで不安だ。もしかして封印されていた理由って・・・。まっまぁ、あまり深く考えない様にしよう。
「ユータ。僕は、それよりも大事な事があると思うんだけど?」
「そうじゃぞ!!妾に異世界の食べ物を早う渡すのじゃ!!」
リリスは、俺の前に両手を突き出す。アルフィナとリリスが言う大切な事はきっと違う。案の定アルフィナが反論する。
「違うよ!!僕が言っているのは、この家の事だよ!!」
「うむ?この家がどうかしたのかの?」
「ユータの家は成長するんだよ。まだ成長の方法は分かってないけとね」
「ふむ。では、今のこの家は成長した後と言う事かの?」
「その通りだよ!!是非詳しく調べてみないと!!また新しい物が増えてるかもしれないからね!!」
「ふー。お主は、変わらんのう。仕方ない。先に家を調べるぞ。その代わり後で異世界の食べ物をよこすのじゃぞ!!沢山だからな!!」
気合いの入り過ぎたアルフィナと興味が無さそうなリリスを連れて家の中を見て回る。プレハブの様な家がレベルアップに伴い大きめなログハウスの様な感じになった。先ずは、今までもあった物を鑑定で見てみる。
ソファー レベル3
座っている限りリラックス効果が得られる。不壊(こわれず)。ソファーに座っている限りあらゆる状態異常を無効化する。効果は、レベルに依存する。
ロッカー レベル2
この中に入れた物は、異空間に収納される。異空間内は時間経過がない。備え付けの袋でロッカーとやり取りができる。異空間の広さは、レベルに依存する。
冷蔵庫 レベル2
中に入っている食材を長期間保存できる。一日に二度異世界の食べ物が自動で追加される。追加される物は、レベルに依存する。
ベッド レベル3
安眠効果付き。ベッドで眠っている間あらゆる傷や病気を癒す事が出来る。部位欠損も古い物でなければ、治すことが出来る。癒しに係る時間は、レベルに依存する。
一通り今まであった物は、調べ終わった。効果が増えた物や上がった物など様々だ。ただ、レベルの上がり方が違うのは、使用頻度の違いなのか?これは、検証が必要だろう。まあ、放って置いてもアルフィナがするだろうが・・・。
そのアルフィナの方を見ると今まさにリリスに斬りかかろうとしている。
・・・?!いや、何してんの?
「アルフィナ!!何してんだよ!!」
「うん?どうしたんだい?そんなに血相を変えて」
「どうしたったって、何でリリスに剣を向けているだ!!」
「ああー。成程。いやーこのベッドの効果が気になってね。リリスに協力して貰っていたんだ」
「協力ってまさかリリスを斬ろうとしたのか?」
「・・・?そうだけど?リリスは、竜王だからね。部位欠損ぐらい簡単に治せるから心配ないよ?」
「うむ!そうじゃぞ。妾は、竜王だからのう!!」
リリス何故ドヤる。君を心配して言っているんだよ。はあ、まあ良いや。二人の反応からすると多分大丈夫なのだろう。取り敢えず効果は、別の機会に調べて貰う事にする。
「そうだ!!ユータに聞きたいことがあるんだよ。この剣は、ユータが使っていた物を僕なりに再現してみたんだ」
アルフィナは、右手に持った剣を見せる。
「これは、純粋な魔力を固めて剣の形に整えた物だよね?何で属性を付与したの?魔力効率を考えたら属性は無い方がいいんじゃ無いのかな?それに「俺の右手に宿し闇よ」と言っていたけど異世界人は、右手に属性でも持ってるの?」
アルフィナの質問は封殺する。あの日は、何も無かったと鋼の意志で黙秘する。
アルフィナは、俺から答えが聞けないと分かると家の探索に戻る。
・・・勝った!!男の尊厳を守り抜いた。
「そう言えば勇者も同じ様な事を言っておったのじゃ!!」
終わったと思ったら後ろから刺された!!そして勇者!!やっぱり転移者なのだろうか?気にはなるが今この話題を続けるのは良くない気がする。
「リリス。早くしないと時間がなくなるぞ」
「そっそうじゃった!!急ぐのじゃ!!」
リリスは、バタバタと部屋を出ていく。その後を追いかけながら何とか話題を逸らせた事に胸を撫で下ろす。
扉の前では、アルフィナが待っていた。扉には、執務室と書かれている。
部屋の中には、机があり、その上に操作パネルがある。
ふーん。イメージとしては、パソコンに近い感じかな?魔石を対価にマイホームを強化出来るのか。施設を追加したり、今ある施設や物を強化出来る。ただ、まだ表示されてない箇所がある。もしかして、マイホームのレベルが上がればできる事は、増えるのかもしれないな。
「成程ね。その可能性は、高いと僕も思うよ。後は、魔石の違いで効果が変わるのか調べるべきだと思うよ」
アルフィナに俺の考察を元に話すと概ね同意みたいだ。既に目を輝かせているアルフィナは、満足いくまで調べ尽くすのだろう。
未だぶつぶつとこれからの予定を考えているアルフィナは放置して、操作パネルに目を向ける。
操作パネル
魔石をCP(カスタムポイント)に変換する。変換量は、魔石によって変わる。
施設強化 施設設置 機能強化
操作パネルに表示されている三つのうち施設設置を選択する。
施設設置
魔石をCP(カスタムポイント)に変換する。CPを消費して施設を設置することが出来る。CPの消費量は、施設による。
訓練場 CP1000
図書室 CP2500
娯楽室 CP3000
ふと、視線を感じ操作パネルから顔を上げると、アルフィナが期待した目で見ていた。その目は、図書室を選べと雄弁に語っている。
俺としては、図書室でもいいが、問題はCPの量だ。変換率がわからない為、2500が多いのかどうかも判断出来ない。もし、魔石一つでCPが1なら途方もない数が必要になる。
「アルフィナ。図書室を設置するのはいいけど、魔石集めは任せてもいいか?」
「勿論だよ!!全て僕に任せて欲しい。魔石ぐらい僕が直ぐに集めて来よう」
「あー。張り切るのは、良いけど決してやり過ぎない様にな」
「失礼な!!僕もそれぐらいきちんと考えているさ!!」
プンプンと怒っているアルフィナだが、俺の言葉に「ヤベ!!」という顔をしたのを見逃してないぞ。・・・やっぱりこいつは封印しておくべきかもしれない。下手したら森にいる魔物が絶滅するかもしれない。まあ、魔石の事は、アルフィナに任せておけば大丈夫だろう。
アルフィナは、魔石を集める為に早速森に行った。俺は、リリスを連れてリビングに向かう。冷蔵庫には、プリンが入っている。俺は、リリスにそれを渡す。
「これが異世界の食べ物なのじゃな!!」
リリスは、興味深そうにプリンを眺める。スプーンでペチペチとプリンを突いていたが意を決して口に運ぶ。
「・・・!!ウマーーーー!!」
リリスの叫び声が家中に響き渡った。
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