10月2日(木)

「えー……、こんなこと、あったっけ?」

 学校にたどり着いた私達は、校門も前で立ち止まる。

「ねえな」

「俺もこういうのは初めてだ!」

 なぜか今日は、校門が閉まっていた!

 え、なんで? ねえ、なんで校門閉まってるの?

「入らせる気ゼロってこと!?」

「まあ、遅刻ばっかしてるもんな」

「だからってこれはあんまりじゃないかなー!」

「うっせーな、峰山!」

 と、校門の向こう側から十六夜先生が。

「十六夜先生! 開けてくださいよー」

「む、り、だ」

「おい、いいのか、先生。隼人、受験生だけど」

 内申に響くんじゃねえの? と、真間ちゃんがいうと、たしかに、と先生は頷いた。

 お?

「よし、隼人。入っていいぞ」

「ありがとうございます!」

 ガラガラ、と十六夜先生が校門を少しずつ開けていく。

「さっさと入れ」

「ありがとうござ――」

「ありがとー、十六夜先生!」

「あ、おい、峰山!」

 ガシャン、と校門を十六夜先生は閉めるけど、時すでに遅し。私はもう校舎内に入っている。

「先生、ありがとうございます。開けてくださって」

 ぺこり、と頭を下げる。

「峰山が……、峰山がお辞儀をしている……!」

「失礼すぎません?」

「敬語も、使っている……!」

 いいやもう、無視しようそうしよう。

 私は反対側を見る。

「あっれれー? そこにいるのは真間日向さんじゃありませんか! どうしたんですかー? 学校に入らなくていいんですかー?」

「うぜえ……」

 真間ちゃんはタイミングを逃したせいで、未だに校門の向こう側にいる。

「お前が無理やり入ったせいで、私は取り残されたんだよ!」

「え、可哀そう……」

「お前のせいだよッ!」

「登ってくればいいじゃん、校門を」

「スカートなんだよ!」

「今更だけど、なんで真間ちゃん、スカートなん? 似合ってないわけじゃないけど、スラックスのほうがいいんじゃない?」

「少女漫画の主人公はスカートだろーが!」

「スラックスっていうギャップ萌えもあるんじゃない?」

「たしかに」

 ま、私もそういう理由でスカートだけど、と言えば校門越しに殴られる。

 ……うん、なんでそこまで腕がとどくの? なんでその隙間に腕が入るの?

「ていうかさー」

「なんだよ」

「いいの? 先生がいる前でそんな言葉遣いしちゃって」

 久しぶりに、私渾身のウインクを、真間ちゃんに向かってしてあげる。

「あ」

「おま、お前、真間か……?」

 あっれれー、放心状態の十六夜先生じゃあないですかー。

 てゆーか、なんでふたりとも私のウインクを無視するの?

「な、何言ってるんですかぁ、先生っ」

「もう遅いと思うぞ!」

「黙れくださぁい、隼人せぇんぱい!」

「やばいどうしよう、湊。俺、日向を見て吐き気がする……」

「安心して隼人。それが普通の反応だよ」

「峰山ぁ、今度殴ってあげるねっ!」

 やばい、殺気を感じる。

「私、羽未にしか殴れらたことないのに……」

「妹?」

「そそ、もう死んだけど」

 じゃ、教室行こっか! と隼人に笑いかければ、隼人も大きく頷く。飲み込みが早くて助かるよ、ふっ。

「いや、校門開けろや! ……あ、開けてくださぁい、十六夜せんせっ」

「お、おう……」

 なんて二人の会話(に、校門を開ける音を添えて)を、聞きながら歩いた。

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「運命の出会い」に出会うまで セキチク @sekichiku

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