9月26日(金)

 球技大会って、Ball game tournamentっていうらしい。ボール、ゲーム、トーナメント……、意外と身近な英語だなぁ。これなら隼人でも知ってるか!

「あ、いた!」

 隼人ー! 真間ちゃーん! と、角で待っている二人に行く。

「おはよう!」

「はよ」

「おはよう!」

 と、そこで一つ疑問が。

「なんで二人ともボールを持ってんの?」

 私がそういうと、困った顔をする二人。え、なになに、怖すぎるって。

「逆に峰山は持ってきてねえの?」

「逆に持ってくるものなの?」

 だって、持ち物表には書いてなかったよ、という。

「書いてなくてもこれは暗黙のルールってやつだしな!」

「なにそれ、知らないよ!」

「じゃあお前、去年はどうしたんだよ」

「去年? ……あ、十六夜先生から卓球ボールをもらったのはそういうことだったのか」

「……忘れてたんかよ」

 えー、あれ愛のボールかと思ったんだけどなぁー。……教師がそんなことしたら怒られるか。

「でもボールって何に使うん?」

「使わないけどな、会場に入るための入場券! 的なやつ!」

「会場って学校でしょ?」

「本当にお前は去年、どうやって学校に入ったんだよ」

「遅刻したから裏口から」

 ねえ待って、ため息つかないで、ふたりとも。

「あ、それで隼人はサッカーボールを持ってきているのか!」

「おう!」

「じゃあ、真間ちゃんは……?」

 何も持ってないけど……。

「バランスボールだけど。スクバの中に入ってる」

「――ちょっと待って」

「は?」

 そうかそうか、君はボケに回ったのか。私と隼人がボケなんだけどねッ、いいよ、別にそれでもッ。

「え、何、膨らんだまま入ってんの?」

「は? スクバに?」

「逆にどう入ってんの?」

「空気抜いてんだよ、馬鹿」

「……!」

 そういうことだったのか!

「じゃあいついれるの?」

「校門前でいいかなぁーって。いやそれよりも峰山。お前はボールを持ってこなくていいのか?」

「へ?」

 ……うわぁー、やっべぇ。

「うちにもバランスボールあるかなぁ?」

「お前殴るぞ?」

「うそうそ、やめよう?」

 これ以上は叩かれたくないねッ。

「あ! 羽未の遺品の中にスーパーボールがあったはず!」

「あれってありなのか!? 遺品の中からとか」

「ちょっと待って、取ってくる!」

 私は走って家に戻る。

 ちょっと待てないかもー! という声は無視しておこう、そうしよう。

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