6月3日(火)

 6月に入って3日目。「運命の出会い」を始めてから2ヶ月。

「結論。時間の流れは早い」

 6月に入ってもう3日目とか、信じらんない! もう十分の一過ぎちゃったってことでしょ!?

「「運命の出会い」を始めてから、時が経つのが早く感じるなぁ」

 ……ドーパミンの影響か。楽しいことは時間の流れが早く感じるっていうもんね。あの二人も同じだったらいいなぁ。

「最近、私のボケのストックが切れ始めてるんだよな、どうしよう」

 私の特技が、消えかけているということか……!?

「いや、私の特技は永遠に消えることはない。安心したまえ、私よ」

 厨二病っぽいことを言ってるような気もするが、とりあえず、ニュースを見て気持ちを落ち着かせよう。

 ピ、と音をしてテレビの電源をつける。『いい朝ですね』を見るのが一番だ。

 ――『速報です。この市に初めての猫カフェができました』

「ねこ、猫カフェ!?」

 マジかよ……。私、猫アレルギーなんですけど……。どこだ? 場所はどこだ?

「んなっ、学校の近くだってぇ!?」

 ――『ここの生徒に訊いてみました。猫カフェができてどうですか?』

 ――『嬉しいです! 放課後、絶対友だちと行きます!』

「やめてくれ、毛が付くだろ、制服に!」

 やばい、考えただけでもくしゃみが……。最悪だ。

「まあいいや。いってきまーす……」

 テレビを消して家を出る。

 朝からこんなとか……、最悪だな。猫アレルギー、なんでもってるんだろ。せめて熊アレルギーとかがよかったんだけど。熊のほうが関わりないじゃん。

 やばいぞ、明日起きられる予感がしない。

「あ、湊が来たー! 湊、知ってるか? 猫カフェができるんだよ!?」

「隼人、おはよう。知ってるよ、猫カフェのことでしょう?」

 元気だなぁ、おい。

「峰山にしては乗り気じゃないな。どうした?」

「真間ちゃん……。そうなんだよ、私、猫アレルギーなんだよ」

「へえ、意外」

「逆に真間ちゃんも乗り気じゃないよね、どうして?」

「私は犬派だから」

「……めっちゃ意外だわー……」

「へえ?」

「いやだって、真間ちゃんってツンツンデレデレだから、猫っぽいなぁー……――ってそんなことないよね、真間ちゃんだもんね」

「処す」

 ん?

「なんか最初のほうは『ぶっ飛ばす』だったのに、だんだん怖くなってきてない? ねえ、隼人も笑ってないで助けてよー!」

「湊……、昇格したのか」

「ああ、ついさっき黒から白になった」

「急な冠位十二階制度やめよ? ていうか、私最低ラインだったんだ。てっきり紫かと」

「それは絶対ない」

 あれ?

「でも、ユーモアに関しては私のほうが上だよ?」

「ユーモア『だけ』な?」

「すいません」

 真間ちゃんの顔もだいぶ柔らかくなったなぁ。


 ***


 冠位十二階は、

 低い順に『黒』⇒『白』⇒『黄色』⇒『赤』⇒『青』⇒『紫』となっています。

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