5月26日(月)

 昨日は嫌な夢を見たなぁ。遅刻を教えてくれたのはいいんだけどね? 教え方っていうものがあるのよ。……角で犬とぶつかったのは、結構良かったかも?

「うーん」

 まあ、いっか。とりあえず、学校に行こう。

「いってきまーす」

 ちょっとドキドキしちゃうよね、昨日のあの夢を見ちゃったらさ、犬と出会っちゃうかもー、って。

 ま、ここは現実。そんなことが起こるわけがない。

「おはよー、真間ちゃん!」

「峰山。おはよ」

 隼人はまで来ていないみたいだね。隼人にも訊きたいこと、あったんだけど……、しかたないか。

「真間ちゃん、一ついいかな?」

「無理かも」

「昨日のLINEの通知はどういうこと?」

「……」

 にらめっこでもしてるのかな、隼人と違って私の顔を凝視してくるのやめてほしいな。

「朝起きたらさ、」

「朝じゃなくて昼だろ」

「細かいことはいいんだよ!」

 確かに正午だったけどね!?

「昼起きたらさ、LINEに通知が100件も来てたの。二人だけでね。それが真間ちゃんと隼人」

 あれ、ある意味恐怖だからね?

「峰山が遅いんだよ。LINEってこんなに便利な道具なんだな」

「それは思うよ。まあ、いいんだよ。だって真間ちゃんからは35件なかったからね」

 許容範囲だ、これは。

「65件が彼氏でもない男子からって怖すぎるだろ……」

「それはたしかに。でも、彼氏からでも30件は来てたら恐い」

「それきみやってたからね?」

 おかしいな、今日はボケ側が真間ちゃんだぞ?

「ていうかなんで遅れたんだよ。こっち、結構待ったんだけど」

「それはごめんね。ふつうに寝坊しちゃった」

「寝坊って……。正午まで寝る馬鹿がいるか」

「ここにいるんだよ、それが」

 私は自分を指差す。

「平日だったけど?」

「私の辞書には、『平日』という言葉は存在しない!」

「そこは存在したほうがいいよ、絶対損するから。なんなら、今から私が付け足しておこうか?」

「真間ちゃんなら、それを本気でやりそうだから真面目にやめてほしいな」

 そしてこの世には『余計なお世話』という言葉もある。

「本気と書いて、マジと読む」

「真顔ですごいことを言ってるように見えるけれど、それって誰かの名言じゃなかった?」

「私、ボケ側に回ったつもりはないんだけど」

「Me too」

 今日は真間ちゃんとすごく意見が合うな。明日、雪降りそう。

「今失礼なことを思っただろ」

「少しね」

「へえ……」

 すぅ、と目が細くなる真間ちゃん。

「あ、えーと、そんなことは一つも思ってないよ!」

「ふぅん」

 恐い。

 これは何年経っても慣れないね。

「真間ちゃん、深呼吸大事よ?」

「それはね、知ってる」

「うん、だよね」

 あー、今すぐ『Yahoo!知恵袋』を開きたい。

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