4月28日(月)

 ――『今日の最高気温は20度前後になる予報です』

「なんっっっっだって!?」

 いよいよ半袖デビューかな? あーでも、まだ衣替えじゃないんかぁ……。残念無念また来年。

 いや、来年まで待ったらやばいよね。

「よーし、いってくる!」

「よお」「やあ」

「ぎゃあ!」

 ドアを開ければそこに真間ちゃんと隼人が。

「なんだなんだ、どうしたどうした?」

「峰山ん家ってここなんだな」

「おはよう、湊!」

「おはよう。え、なんでここにいるの? え、は? ……え?」

「私は何も悪くない」

 ふい、と真間ちゃんは顔をそらす。絶対君が真犯人だよね?

「あ、なるほど。最近は角で出会うんじゃなくて、玄関で待ち伏せして彼氏をつくる方が流行はやってんだ。つまり私は、流行に遅れているの?」

「まあ、うん。そういうことでいいか」

 じゃあ私も待ち伏せしないとかな。でも、知ってる男子って隼人しかいないし、隼人は例外だし。

「やっぱり、角で待ち合わせる!」

「そーか」

 角の方がなんか少女漫画っぽくて好きだし! それに待ち合わせとかストーカーみたいで――……ストーカー?

「二人って、そういう人だったんだね……」

「絶対良からぬことを考えただろ」

「どういう人かわかんないけど、そういう人じゃないよ!」

「無知って幸せ……」

「ひでえな」

「いやいいんだよ。それも個性だ」

 ポンポン、と真間ちゃんと隼人の肩を軽く叩く。

「ふざけんなよマジで」

「無知が個性……。新たな発見だな、湊!」

「隼人、わたくしもツッコミ側に回ろうかしら」

「あらやだ奥さん。わたくしはどうなるのかしら」

「お一人で頑張ってくださいまし」

「なんと」

 やっぱ隼人はノリがいいね。

「その会話からもうお前はボケ側なんだよ。隼人までオネエ口調みたいなん、しなくていいし」

「真間ちゃん、手厳しぃー」

 私だってツッコミ側に回りたいんだよ? でもおり姫はそれを叶えてくれないし。

「さっさと行こー。私の家に居座んないでさ」

「お前の家なの?」

「あー……」私は後ろを振り返る。「うん、まあ。私の家、かね……」微妙な反応しかできなかった。

「じゃ、行くよ」

 真間ちゃんが歩きだして、その両脇を隼人と私が歩く。

「そう言えばさ、真間ちゃんは角で待ち合わせとかしないの? 運命の出会い! って」

「たまにやってる。でも収穫はないな」

「俺は?」

「例外」

「ひど」

 よーし、じゃあ……。

「いっけなーい、遅刻遅刻!」

 私は大きな声を出す。

「お前何やって……っ!?」

 角の近くで私は真間ちゃんのスクバを押す。真間ちゃんがコケない程度にね。

「うわっ……あっぶな」

「あちゃー」真間ちゃんのあとに角を曲がった私は額に手を当てる。「誰もいなかったかぁー」

 真間ちゃんにも運命の出会いが来ればよかったのにね。

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