4月23日(水)

 体育祭に近いと言ったって、GW《ゴールデンウィーク》のあとだから、まだまだ時間はある。

「体育祭の準備、って何するんだろ。とりあえず、ジャンプの練習でもしておけば大丈夫か!」

 パン食い競争なら結構自信あるし!

「なに馬鹿言ってんの?」

「団対抗だよね。2人は何組?」

「俺は1組!」

「私は2組」

「あ! 真間ちゃんと一緒だ!」

「うんそうでしょうね、峰山は私の後ろの席だしね」

 ん?

「真間ちゃんって同い年だったの!?」

「ひでえな。番号順、峰山の前なんだよ。『ま』と『み』だろ?」

「たしかし!」

 あれ、でも……。

「でも私、自己紹介で『真間日向』っていう人を聞いたことないんだけど」

「お前は遅刻してきたんだよ!」

「ああ! あれか! 『入学式に堂々遅刻! その正体は峰山湊!』って、湊のことだったのか!」

「わあお! 私ったら人気者」

「いや、フルネームがもう載ってるんだから峰山だって気づけよ。そうだよ、お前が遅刻したから、自己紹介はお前だけになったんだよ」

「なるほど!」

 そういうことだったんだね!

「でも、入学式に遅刻とかすごいなー」

「それほどでもある」

「いやあるんかい」

 隼人と定番のボケとツッコミをして、真間ちゃんからの冷たい視線を浴びる。

「真間ちゃん、そんな目で見ないで。人間アイスになっちゃうよ」

「さっさとなれよ」

「私を食べる気なのね……」

「どこをどう解釈したらそうなった」

「ここをこう解釈した」

「わっけわかんね」

「日向! そこは『ワケワカメ』だろ!」

「いや知らねえし!」

「さっすが隼人、わかってるぅー」

 ナイスだぜ。

「隼人、真間ちゃんはね、友達が私達しかいないから『ノリ』っていうもんがわからないんだよ」

「なるほどな!」

「……」

 おかしい。真間ちゃんが反抗してこない。まさか……、

「反抗期?」

「黙れ」

 反抗期じゃないのかぁ。でも、静かだなぁー。

「ま、いっか! あ、そうだ!」私は二人を見る。「体育祭が近いけど、体育祭の準備って何をするの?」

「何もしなくて良いと思う!」

「私も何もしない」

「へー、そうなんだぁ」

 なら、いっか。何もしなくても優勝してやろうか!

「みんなで優勝しよーね!」

「みんなは無理だろ」

「いてっ」

 久しぶりに真間ちゃんの拳をくらった。

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