4月18日(金)

 食パンを食べながら二人と歩いていく。

「そういえば湊! 昨日フラレたんだってな!」

「その話は誰から聞いたの、なんで傷をえぐろうとしてくるの、もう本当にさいてー野郎だよ」

「なんか早口で言われたんだけど……まあ、全部日向から聞いた!」

「馬鹿! 言うんじゃねえ!」

「真間ちゃん……」私は尊敬の眼差しを真間ちゃんに向ける。「私のこと、心配してくれたんだね……。ありがとう」

「ほーら、こうなった!」

「おお。日向は湊のこと、使い慣れてるな! すげー!」

「はあ!? 誰がこんなやつと――」

「真間ちゃんは私の仲間だもんね!」

 私は真間ちゃんと肩を組む。

「離せよ……」

 でもすぐに離される。かなしー。

「やっと学校に着いた」

「え、真間ちゃん、学校好きなの!? 私もだよー!」

「俺はみんなに『残念』『残念』って言われているからなー、気乗りしない……」

「それも自分のせいだと思うよ、隼人! だって隼人ってば『残念イケメン』の代表枠だもんね!」

「そういうことか!」

「納得すんなよ……。私が、学校に早く行きたいのは、イケメンをおさめられるからっていうわけなの! あと、あんたたちと一緒にいると、私の頭までネジがぶっ飛びそう!」

「そういえば真間ちゃんは結構ぶりっ子だったもんね。忘れてた。ていうか、ネジがぶっ飛ぶってどういうこと!? 真間ちゃんって、ロボットなの!?」

 嬉しい! 私、ロボットって大好きなんだよね!

「ロボットじゃねえよ、モノのたとえだよ!」

 あっははー、と隼人と笑いながら、目の前のを校門をくぐる。

「問題児三人組がようやく登校か」

「十六夜先生! おはよう!」

「おはよー。もうとっとと入ってくれ。お前らが入んないと、俺の当番が終わんないからな」

「よし、じゃあずっとここにいるね」

「おい!」

 それにしても『問題児三人組』ってなんだろー。私ら、毎日遅刻しているだけなのになぁ……。

「そうだ、反省文はもう書けたか?」

「「反省文?」」

 先生の言葉に私と隼人が同時に首を傾げる。

「えぇー、二人とも知らないのぉー?」あ、でたでた。真間ちゃんのぶりっ子。「遅刻したらその分反省文を書くんだよぉ」

「そうなんだ!」

 そんな制度、初めて知った。

「ていうかこいつ日向なのか? いつもはめっちゃらんぼ――」

「隼人せんぱぁい」

「なに――いった!」

 わあ、隼人可哀想……。

 隼人は振り向きざまに、真間ちゃんのピンタをくらっていた。

「真間、なんだよな……」

 先生が若干引いてる。あれ? これデジャブ?

「そぉーですよぉ。真間ですよぉ」

「だよなだよな。真間はビンタをするやつだったよな……」

 無理矢理感が半端ない。

「そ、それと、反省文は隼人と峰山は今年度入ってから一枚も出してないからな。2週間分、さっさと出せよ」

「え!? 真間ちゃんは!?」

「真間は毎日出しているが?」

 真間ちゃんって優等生だったのかな!?

「あ、そうだ。隼人は『残念イケメン』って言われているが、それと同時に真間は、『残念美人』って言われているんだからな?」

 そーなの!?

「先生って、生徒の噂をよく知ってますね! そういうことですか!」

「どういうことだよ、峰山」

「いいえ、なんでもないでーす!」

 でも、いいことを知っちゃった。

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