第20話 友人が予約して定価で買ったゲームがクソゲーだった話

 今はもう少ないかもしれんが、口コミぐらいしか情報が得られなかった時代は、クソゲーに遭遇する確率が本当に多かったんじゃよ。


 クソゲーでも作れば売れる、そういう時代があったんじゃ。今はもう開発費に巨額の費用が掛かるために作られる本数も減り、そしてクソゲーも……、いや、結構聞くのう。


 それはまあいいとして。面白いと期待して定価で買ったらクソゲーじゃった、それは悲しい事じゃろう。特に中高生がお小遣いを溜めたお金でやってしまったら、悲しいはひとしおじゃろうて。


 ワシの友人にも、その経験はあった。ワシも一緒にゲームショップ(まだあった時代の話じゃ)に行って、予約したのを覚えておる。


 発売前に、ワシ達には知る方法がなかったんじゃ。このゲームが後に伝説のクソゲーと呼ばれてしまう事になるとは……。


 SFC『真・聖刻ラ・ワース』。それこそが玉石混淆と呼ばれるSFCのソフトの中でも群を抜き、プレイした者ならば伝説と言われても納得する、おそらく名前を知っている人も多かろう。伝説のクソゲーの一つの名前が、これなんじゃ。


 内容については、感じるのは人それぞれじゃろう、だからワシは何も言わん。……しかし、しかしここだけは言わせてくれ。


 操兵の敵が、ボス以外では二種類しかいないのは、さすがに手抜きすぎだろうが‼


 ……『真・聖刻ラ・ワース』というゲームは、いわゆる巨大ロボット物でもあるんじゃ。主人公チームが戦う場面と、操兵と呼ばれる巨大ロボットでの戦いに分けられておる。その操兵のザコ敵が、二種類しかいなかったんじゃよ、ずっと、どんなに話が進んでも。


 ついでに書いておくと操兵の攻撃は、パンチとキックしかなかった。当たるけど弱いパンチと、当たらないけど強いキック。それだけじゃった。操兵のイラストでは剣が書かれておるのに、実質キック一択じゃった。


 『真・聖刻ラ・ワース』は『ワースブレイド』のメディアミックスの一環で、TRPGがあり、『聖刻一〇九二』という小説の前日談にあたる話なんじゃ。他にもドラマラジオにドラマCDがあったり、別の時代の話が書いてある小説もあったりと、たくさんが展開していたんじゃよ。


 この『真・聖刻ラ・ワース』はゲームより前に小説が発売されて、ワシ達は期待していたんじゃよ、本当に。


 それがこんな事のなるなんて……そして小学生から付き合いのあるYが、予約して、新品を、定価で、買ってしまうとはのう……。


 一年程度でワゴンの常連になり、数年経てば税抜きワンコインで買えるようになっておった。


 ……しかしワシやツレ達はYから借りてプレイして、みんなでボロクソのように言い合っておった。

 それを考えたら、この思い出はプレイスレス。楽しい思い出を作る事が出来た、そう思う事ができるかもしれんのう……。


 ……いや、ワシは金を出していないから、こういう事が言えるんじゃろうがな。

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