第6話 八支則

「はぁ……。やっと終わった……」


アヤが、疲れた声を漏らす。


「本当に、強かったですね……」


ハルキも、息を切らしている。


「皆さん、お疲れ様でした。少し休憩しましょう」


ナギは、そう言って立ち上がると、スタジオの隅に置いてあったヨガの教本を手に取った。


「そういえば、皆さんに話しておきたいことがあったんです」


ナギは、教本を開き、あるページを指差した。


「これは、ヨガの八支則と呼ばれるものです。ヨガの教えは、単なる体操ではなく、心のあり方や生き方までを含めた、包括的なものなんです」


ナギは、八支則について説明を始めた。


「ヤマ(禁戒)、ニヤマ(勧戒)、アサナ(体位)、プラーナヤーマ(呼吸法)、プラティヤハラ(感覚の制御)、ダーラナ(集中)、ディヤーナ(瞑想)、サマーディ(悟り)。これら八つの段階を踏むことで、心と身体を調和させ、真の平和を得ることができると言われています」


ナギは、八支則の一つ一つについて、丁寧に説明していく。


「例えば、ヤマは、他人を傷つけないことや、正直であることなどを説いています。ニヤマは、清潔であることや、満足することなどを説いています。アサナは、身体を鍛えるだけでなく、心を落ち着かせる効果もあります」


ナギの話に、ユウタ、アヤ、ハルキは熱心に耳を傾けていた。


「ヨガは、単なるポーズの練習ではなく、心の鍛錬でもあるんですね」


ユウタが、感心したように呟く。


「ええ。ヨガを通して、私たちは心の闇と向き合い、乗り越えることができるんです」


ナギは、力強く答える。


「ナギ先生……。ありがとうございます」


ハルキが、感謝の言葉を述べる。


「私も、ヨガをもっと深く学んでみたいと思いました」


アヤも、真剣な表情で頷く。


ナギは、仲間たちの言葉に、少しだけ心が軽くなった。


「さあ、休憩も終わったことですし、ヨガの練習を再開しましょうか」


ナギは、そう言って立ち上がると、ヨガマットを広げ始めた。


ユウタ、アヤ、ハルキも、それぞれヨガマットを広げ、ナギと一緒にヨガの練習を始めた。

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