人は常に、なにかを失い続けている。人は常に、なにかを積み重ねている。どちらも真実のように思えます。失ったことに目を向け、悼み、前を向くこと。それもまた、私たちが生きるということなのだろうと。記憶とは。思い出とは。自分が自分であり、誰かが誰かであるとは――。痛みの中、そっと心に寄り添い、静かな問いを差し出してくれる、そんな作品に思いました。