「忘れ物」

会社員のシュンは、朝の通勤途中で違和感を覚えた。


(あれ……なんか忘れてる気がする……)


財布、スマホ、カバン──すべて持っている。だが、何かが足りない気がしてならない。


気になったシュンは、会社に着くなり同僚のヒロシに聞いた。


「なあ、俺、なんか忘れ物してないか?」


ヒロシは一瞬シュンを見て、目を丸くした。


「……いや、お前、それ気づいてないの?」


「え?」


「お前……靴履いてないぞ」


シュンが足元を見ると、スーツに靴下のままだった。

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