変更されたスケジュールが結局は最悪の展開に

Pilealot

第1話

午前6時ちょうど、携帯電話がけたたましく鳴り響いた。耳をつんざくような音に、体全体が飛び起きる。特に脳が、一瞬で覚醒した。

反射的に上半身を起こす。何が起きた?


「おはようございます。FOダランさんですか?」

「はい、そうですが……」 まだ状況がつかめないまま答える。不吉な予感がした。誰かが飛べなくなり、俺が代わりに呼ばれたに違いない。

「早朝から申し訳ありません。今日、マナドへの往復便をお願いできますか? 担当のFOが急に体調を崩しまして……」

スケジューリングの担当者の声は焦っている。もう他に選択肢がないとでもいうように。


長く息を吐き、思考を整理する。携帯のカレンダーを確認——今日は特に予定はない。両親とも、イリーナとも何も入っていない。それに、俺は待機当番だ。断る理由はない。

「わかりました。行きます。ETDは?」

「7時です」

反射的に枕元の時計を見る。6時00分。


心臓が止まりそうになる。どう考えても無理だろ。

「本気ですか? 空港まで1時間かかるんですけど」半ばパニックになりながら言う。

「待機のFOが他にいないんです。本当にお願いします。迎えの車はすでにご自宅の前に着いています」


ため息をつき、カーテンを引く。

——確かに、門の外に迎えの車が停まっていた。


「ダラン、迎えが来てるよ。今日、フライト?」

部屋の外から母の声が聞こえた。夢じゃない。現実だ。

「待って、母さん!」


電話に意識を戻し、

「わかりました! シャワー浴びて、すぐに出ます!」


通話を切ると、すぐさまラックからタオルを掴む。シャワーは最速5分。

水滴が残る体を拭きながら、クローゼットからパリッと整えられた制服を取り出す。

15分後には、完全にフライト準備完了。


「本当に行くの?」部屋を出ると、母がもう一度聞いてきた。

「うん。担当のFOが体調崩したから、代わりに入る」

母の手の甲に軽くキスをし、「今夜には帰るよ」


母の声を背に、俺はフライトバッグを肩にかけ、迎えの車に飛び乗る。


車内では、マナドのサム・ラトゥランギ空港について記憶を整理する。久しぶりの飛行ルートだ。

10分ほど重要な情報を復習し、それから少しでも仮眠を取ろうと目を閉じた。


空港到着時には、出発まで残り10分。時間がない。

走れるだけ走った。幸い、PCR検査はまだ有効だったため、追加の健康チェックは不要だった。


「クソッ、乗客たち、絶対イライラしてるな……」


まるで乗り遅れそうな客のように猛ダッシュする。冷えた空港内でも汗が吹き出る。

スケジューリングからゲート情報は聞いていたので、ブリーフィングオフィスをスキップし、そのまま機体へ直行する。チェックインは自動処理されている。


「ゲートにはもう誰もいない」


内部でため息をつく。

搭乗は完了しているのだろう。


急ぎ足で機体のドアに向かう。


「おはようございます、ダラン副操縦士。前のFOの代わりですね?」

パーサーが温かく迎えてくれた。

「はい、パーサー。遅れてすみません」

「大丈夫です。キャプテンはすでに機内で待機しています」


そう言って道を開けてくれたので、すぐにコックピットへ向かう。


キャプテンはすでに座り、プレフライト手順を終えているようだった。


「おはよう、ダラン副操縦士。俺はアンドリだ」

顔を上げずに挨拶しながらも、こちらの存在は認識している様子。

「おはようございます、キャプテン。ダランです。急な差し替えだったので、少し遅れました」

席にバッグを置きながら答える。


「いや、問題ないよ。元のFO、ダルウィスがTanjung Karang便で腹を壊してな。勤務外してほしいって連絡があったから、代わりを探してたんだ。助かるよ」


ダルウィス? 知ってる。同期だ。


「了解です、キャプテン」


そのとき、携帯が震えた。

画面を見ると、ダルウィスからのメッセージ。


「ダラン、お前が代わりに乗るんだよな? できれば飛ぶな。俺、わざと降りたんだ。」


心臓が跳ねる。

……何だって?


無意識にキャプテン・アンドリを見る。

何か、おかしい?

でも、ダルウィスはそれ以上の説明をしていない。


「ダラン、副操縦士、プレフライトチェック始めよう」


アンドリの声で我に返る。

ゆっくりと息を飲み込み、無理やり頷く。


「はい、キャプテン」


でも、一つだけ確かなことがあった。

——何かがおかしい。

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