第15話【もう一度】

 次の日。両親に晴秋を任せ、オレは一人走りだす。

 学校は休みだが、幸い今日は晴れていた。


 昨日プリントアウトした地図を片手に、片っ端からその種子を探す。


 しかし、それは案の定難しい事だった。

 もともと、コスモスは春に植えて秋に咲くものだ。

 今はもう植えるシーズンではない。

 だから、どこも扱っていないんだ。


「…くそ、どこに行きゃいいんだよ」


 オレは少なくなっていくその候補に苛立つ。


 近くの花屋は臨時休業していた。


 ガーデニングの専門店でも、もうコスモスの種子は扱っていないと言われた。

 その代わり、苗ならある、と親切な店員が教えてくれる。もうある程度育っているから、植えてきちんと世話をすれば秋に咲く、と。

 オレは躊躇した。これを買って帰るべきなのか…。


 違う。

 そうじゃない。

 種子じゃないと意味がないんだ。


 あいつは独りその種子を蒔く。それをそうじゃない形にしたい。

 オレが、隣にいたいんだ。



次回16話【独りじゃない】へ続く

 

 

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