第15話【もう一度】
次の日。両親に晴秋を任せ、オレは一人走りだす。
学校は休みだが、幸い今日は晴れていた。
昨日プリントアウトした地図を片手に、片っ端からその種子を探す。
しかし、それは案の定難しい事だった。
もともと、コスモスは春に植えて秋に咲くものだ。
今はもう植えるシーズンではない。
だから、どこも扱っていないんだ。
「…くそ、どこに行きゃいいんだよ」
オレは少なくなっていくその候補に苛立つ。
近くの花屋は臨時休業していた。
ガーデニングの専門店でも、もうコスモスの種子は扱っていないと言われた。
その代わり、苗ならある、と親切な店員が教えてくれる。もうある程度育っているから、植えてきちんと世話をすれば秋に咲く、と。
オレは躊躇した。これを買って帰るべきなのか…。
違う。
そうじゃない。
種子じゃないと意味がないんだ。
あいつは独りその種子を蒔く。それをそうじゃない形にしたい。
オレが、隣にいたいんだ。
次回16話【独りじゃない】へ続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます