戦艦“ビスマルク”の秘密 – 伊号400潜水艦 vs 海底の罠・謎の潜水艦との死闘!
@vizantin1453
オープニング
【登場人物】
1. 『日下敏夫』海軍少将(主人公)
核融合炉エンジンを搭載する潜水艦「伊400」の艦長。
冷静で判断力が高く、潜水作戦のスペシャリスト。
独特な発想を持ち、数々の危機を乗り越えてきたが、今回の任務に不穏な気配を感じている。
2. 『吉田重蔵』
海洋考古学と軍事技術に精通した研究者兼発明家。
沈没船の兵器を解析する役目を担う。
伊400潜水艦に搭載されている必殺必中兵器“武御雷神の矛”と呼ばれる荷電粒子法の設計者でもある。
口癖は「こんなこともあろうかと…」
3. 『橋本以行』海軍大佐
伊400の先任将校(副艦長)でかつては潜水艦「伊58」の艦長。
日下艦長の右腕であるとともに義兄弟ともいえる仲でもある。
未知の危機に直面しても沈着冷静に判断して艦長の補佐をする。
4. 『ライス・ネクス』海軍大佐
謎の潜水艦「UXX334」の艦長。
ビスマルクの兵器を狙い、日下たちの作戦を妨害する。
彼の背後には巨大な闇組織が隠されている。
************************
数々の並行世界における日本の危機を救ってきた伊400は久ぶりの休暇の為、次元並行世界移動要塞“高天原”に向かうところであった。
「艦長、今回も又……大変でしたね?」
先任将校『橋本以行』大佐が艦長席に座ってコーヒーを飲んでいる『日下敏夫』少将に言うと日下も頷いて橋本の方を見る。
「全くだ、伊勢神宮が破壊された影響で100年間もあの世界に留まる羽目になったが……まあ、良い結果だったな?」
伊400はつい、先日まである並行世界の日本の行方を見守り伊勢神宮の修復をもって新たな並行世界へジャンプすることが可能になり、一時的に休息の為、この要塞に寄るところであった。
その時、天井から吊るされているモニターに反応があり要塞からの指示が表示される。
「こちら軍港管制、伊400へ。入港を許可する。第9745番ドックへ向かえ」
日下艦長は静かに頷き、前方を見据える。
橋本も同じくモニターを見て頷く。
「艦長! 艦の前方1000メートルに次元空間の渦が出現しました!」
操縦士の言葉に日下は頷いて指示する。
「鮫島、微速前進! 渦から発信されている電波の誘導に従え」
「了解です! 微速前進!!」
伊400は速度を落として10ノットに固定する。
そして伊400はゆっくりと渦へ入ると入り口にあたる渦は忽然と消える。
10分後、要塞海域に進入したことの信号を受信すると日下は命令する。
「総員、帰港準備! バラスト排水、浮上開始!」
鮫島が制御を操作し、伊400の船体が静かに浮上する。
「ソナー、周辺クリア。障害物なし!」
「波も穏やかだ。久々に平和な景色ってやつだな」
長い戦いを終え、伊400はゆっくりと静かな要塞港へ戻ってきた。
要塞外壁防波堤を越え、徐々にドックが見えてくる。
巨大なクレーンに整備員たち、係留用のタグボートが並ぶ中、艦橋から見えるのは、久しぶりの地面だった。
「……やっと帰ってきたな。これで任務の完了という気持ちが湧いてきたよ」
橋本が疲れたように呟く。
それは、艦内の誰もが、心の底から安堵していた。
ゴウン……ゴウン……
船体がわずかに振動しながら、伊400は慎重にドックへと進んでいく。
岸壁には、整備員たちが待機していた。
長期間の作戦を終えた伊400の帰還に、彼らの視線が集まる。
「総員、停泊準備。係留ロープ射出!」
ドックのクレーンが動き、係留ロープが放出されて艦上の乗員が受け取って金属音とともに、ロープが岸壁の固定フックに結ばれた。
「停泊完了。全エンジン停止」
艦内の振動が止まり、静寂が訪れる。
日下は深く息をつき、艦橋から港の景色を眺める。
「やっと一段落が終わったな……」
「どうでしょうかね? 何か私の予想では……」
橋本の言葉を途中で遮るように日下は首を振りながら答える。
「いや、話さないでくれ、そして聞きたくもない」
日下の言葉に橋本はハハハと笑うとそれもそうですねと言い、艦から出るために天井をハッチを開放する。
ハッチが開かれ、久しぶりの新鮮な空気が艦内に流れ込んできて乗員たちは次々にデッキへと上がり、久々の地面を踏みしめた。
「久しぶりの地上の空気は新鮮だな?」
ハッチから日下たちが出ると岸壁から一人の男性が笑顔で手を振っていた。
「……なあ、橋本君? 私にはあの笑顔が悪魔の微笑みにしか見えないのだが?」
日下の言葉に橋本も頷くと全くです。新たな任務の話に違いないですね? さてさて、新たな任務の内容は何でしょうかね? と溜息をつく。
日下たちが岸壁に上がると男性がやってきて笑顔で右手を出しながら今回も貴官の活躍で日本が救われましたと言う。
日下も笑みを浮かべながら右手を出して握手をすると今回も大変でしたが何とかうまくいきましたと言う。
「流石は歴戦の戦士である日下さんだ、天照様も喜んでおられました。この要塞での時間の概念がありませんので心行くまで休息と英気を養ってください。しかしその前に……」
男性の言葉を継ぐように日下は手でゼスチャーして男性の言葉を遮り新たな任務の内容ですね? というと男性も笑みを浮かべて頷く。
「気が向いたら要塞司令部へお越しください、司令部への入室許可は日下さんと橋本さんを入れて僅か5名ですからね?」
そういうと男性は一礼すると踵を翻してドックから出ていく。
それを見送った日下と橋本は話題を変えてこれからどうするのかと聞く。
「まだ、この要塞の半分も訪れていませんので今回は南の方に向かう予定です」
橋本の言葉に日下は北の方に行くことをいう。
「この要塞の規模は、地球と同じ大きさだから全部行くとどれだけの年月がかるのか? いや、時間の概念がないから意味ないか」
一つの戦いが終わるが、再び次なる戦いが訪れる日まで、戦士達の束の間の休息が許されるのだった。
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