27. 光明

研修生としての役割を全うしつつも、時間を見つけてはテオと手掛かりについて話す日が続いた。

役割と言ってもレポートを作成するだけだが、なかなかに時間を取られてしまうのが悲しい。

あれから自分なりに情報を整理しているが、やはり手詰まりだ。

何かきっかけがあれば、一気に進展するような気がするのだが、今はその兆しがない。

どうにか監督官と仲良くなれないかと考えてみたが、アイデアが浮かばなかったので、とりあえず観察することにした。


監督官を観察していると、年配の職員が多いかと思えば、若い人もそれなりにいるようだ。

もちろん年配の男性、いわゆるおじさんが多いが、自分と同じくらいの若い女性がいるとは思ってもみなかった。

とりあえず距離を近づけてみようと声をかけたりしたものの、話が盛り上がることはなく、みな機械のように返事をするだけだった。

今日もいつものように観察をしていたが、不審に思われたのか若いきれいな女性の監督官にじっと見られてしまった。

きれいな瞳に吸い寄せられるようについ目を合わせてしまったが、まずかったかもしれない。

そそくさと逃げ去ったが、しばらく心が落ち着かなかった。

そろそろ自重しないと、学校に帰されるかもしれない。

何かいい方法はないだろうかと唸りながらテオの研究室に向かった。


研究室で頭を悩ませていると、テオが急いだ様子で研究室に入ってきた。

「ニールはいるか?ちょっと調査だ、緊急で調べたいことがある!」

僕がぽかんとしていると、いくぞ、と引っ張られる。

いきなりどうしたのかと思ったが、テオの目を見て理解した。

何か進展があったのだ。

ほとんど走るように二人で白脈に向かった。


ここならいいだろうと、適当な岩に腰かけて息を整える。

「単刀直入に言うが、手紙が返ってきた!」

そう言って持ってきた小さなカバンから手紙を取り出す。

「どんな内容が返ってきたんですか?」

「研究施設の見学をさせてくれるそうだ。」

僕が理解できずにいると、テオが笑う。

「シャルの居場所をいきなり聞けるわけないだろ?そもそもここには検閲があるわけだし。だから、研究内容や研究施設について見学させてほしいって連絡したんだよ。まずは、接点を持たないとな。」

なるほど、そういうことか。

たしかにいきなり聞くのは現実的に不可能だ。

「うまく会話の中で過去の第八採掘場での研究内容や調査内容を聞くことができれば、かなり進展するはずだ。」

「会話の中でそれとなく聞いていくのは......うまくいきますかね......」

「それとなく適当にしゃべればいいんだよ。みんな年寄りだ。過去の栄光を語る相手に飢えてるよ。それに、一回でダメなら何回でも行けばいい。過去の自慢話ができる都合のいい相手になってやろうじゃないか。」

なんて言い草だ。

かなりの人たちを敵に回したんじゃなかろうか。

そんな楽観的で大丈夫なのだろうかと心配になる。

「ちなみに、誰から返事があったんですか?」

「サントだ。一番年上だと思うが、意外と好意的な内容だったよ。」

テオから差し出された手紙を確認するが、たしかに好意的な内容が書かれている。

いつでも好きなときに来ていいとは、ここまで協力的な研究者は珍しいかもしれない。

「というわけで、明日にでも行こうと思う。」

「え、明日ですか......?仕事は大丈夫なんですか?」

「これも立派な仕事だろ。有名な研究者に色々と教えてもらえるんだ。優先して何が悪い。」

この強さは見習いたいものである。

「はぁ......僕は何をしてればいいですか?」

「一緒に行くに決まってるだろ?」

「え?」

テオが何を言ってるんだ?という顔で見てくるが、それはこちらの顔である。

「一緒に行っていいんですか?」

「研究者が後学のために研修生を連れていくのは至極当たり前のことだろ?」

「まぁ......それは......」

「もっと気楽に行こうぜ!なかなかない機会なんだから。それに結構楽しいと思うぞ?」

「まぁ、研究所は楽しみではありますけど......」

「もっと楽しいことがあるかもしれないぞ?研究所がどこにあるか知ってるか?」

「いや、まったく......」

にやっとテオが笑う。

「首都だ!思わぬ出会いがあるかもな?」

巨骸の素材をふんだんに使って作られた最先端の都市。

思わず頬がほころぶのがわかった。

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