第25話

魔女から視線を男たちに戻したとき、それがひどく滑稽な物に見えた。


 だから、私は笑った。心の底から笑った。

 突然笑い出した私を男たちは不気味そうに見下ろしていたが、それでも私を穿つのだけは止まらない。


 なんて愚かで、滑稽な男たち。

 だが、それが一周回って愛おしいとも思った。


 私は魔女に願った。力をちょうだいと。

 愛おしいからこそ、私の手で終わらせられる力を。


 魔女が何かを唱えたその刹那、私の身体から炎が吹き出した。


 私を犯し続けていた男たちを、そばで転がっていた死体も、魔女でさえも、私から溢れ出た炎はすべてを巻き込んで燃やし尽くす。


 気付けばあとに残っていたのは、降り積もる灰と綺麗な白骨。

 私はひどく乱れた格好のままその場に座り込んでいて、あまりの景色の変わりようにまた笑った。


 誰もいなくなった場所で、ひとりきり────


 その日から私の立場は逆転したのだ。

 奪われた者から、奪う者へと。

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